気象調査を支援する USB 3 uEye CP カメラ

気象調査を支援する USB 3 uEye CP カメラ

海は、地球上のグローバルな気候変動に対して中心的な影響力を持っています。海洋生物やそのコミュニティの構造を水中および海底で調べることで、将来の気候の動向について重要な情報を得られます。これは自然現象による変動のみならず、人為的に生じる変動についてもあてはまります。

GEOMAR Helmholtz Centre for Ocean Research Kiel (ドイツ) は、ヨーロッパにおける海洋調査の第一線にある機関です。同機関では、海中での化学的、物理的、生物学的、地質学的なプロセス、および海底および大気との相互作用を調査しています。

このため、同機関では AUV (自律型無人潜水機) AEGIR を開発しました。潜水機には 4 台のドライブ、各種のナビゲーションセンサー、そして IDS の産業用 CMOS カメラが搭載されています。このカメラはワイヤレスで海中を最高 200 m まで潜水して海底写真を撮影できます。

たとえば海中にある海藻の群生を継続的に観察して、成長率、種の発現、イガイの発生数の変化を調査します。現状では、ダイバーが潜水して、水中の群生の評価や撮影を行っています。AUV を使うと、今後の観察が簡単になり、繰り返し観察できるようになります。

応用

IDS の USB 3.0 カメラは海底に向けて耐圧ハウジングに設置され、2 台の LED で構成したフラッシュライトを搭載しています。IDS UI-3370CP Rev.2 カメラは真下に向けられ、AUV の下にある海底を撮影します。

つながった群生地域の連続写真を構成するために、後処理で視覚情報を計算して大型のマップを作成します。これによって、いわゆる生息地マッピングが作成されます。特定の動植物の種の生息データを、簡単に録画して評価できるようになります。 

耐圧ハウジングに格納された IDS の USB 3.0 カメラ (プロトタイプ)
耐圧ハウジングに格納された IDS の USB 3.0 カメラ (プロトタイプ)

「将来的な目標は、無人潜水機器を増やして、海中および海上の広い範囲を効率的に調査することです」と、GEOMAR の AUV チームの技術責任者、Marcel Rothenbeck 氏は語ります。「キール製」の AUV Aegir は、環境の厳しい北海やバルト海での使用を念頭に設計され、新しいナビゲーションおよび制御用ソフトウェアおよびセンサーのテスト対象として機能します。

独立したコンピューターを持ち、潜水機のメインコンピューターと接続されている USB 3.0 カメラの他に、AUV は音声ドプラー速度計、圧力と音声の統合センサー、合計 4 台のドライブまたはプロペラを搭載しています。このため、潜水機は低速でも安定して潜水し、走行できます。

ナビゲーションアルゴリズムのさらなる開発

ナビゲーションアルゴリズムのさらなる開発は、海洋生物学的な発見に加えて、研究者にとって重要な目標です。将来的には、生成した画像を視覚的な走行距離計としても使用します。つまり、AUV の推進システムからのデータに基づき、位置と方向を推測します。「写真上で構造やマーカーを『動かす』ことで、速度のベクトルを計算できます。このベクトルによって、位置判定での単調増加するずれを減少でき、ナビゲーション機能が向上します」と Marcel Rothenbeck 氏は言います。

厳しい海洋環境に対応する耐久性

AUV は、輸送時に負担をかけずにあらゆるテスト場所に搬送できるよう、サイズを考慮して設計されています。この目的を満たすため、コンパクトで丈夫なカメラが必要とされていました。同時に、高解像度の大型センサーが必要ですが、これには高光感度と低騒音という特長があります。

結論

AUV を使うと GEOMAR の研究者は今後、水中生物の調査を進めやすくなり、効率やコスト効果も改善されます。物事を可能な限り簡単にして、プロセスを最適化し、調査を進展させることは、IDS 製品のモットーの一部です。GEOMAR Helmholtz Centre for Ocean Research での用途は、この方針に完全に一致しています。そして、IDS カメラを利用した研究者による重要な調査結果によって、変化を即座に認識して、気候変動に対して迅速に対応できるようになるでしょう。

IDS Industrial camera USB 3 uEye CP
GEOMAR Helmholtz Centre for Ocean Research Kiel