Laboratory automation solution with USB and GigE industrial cameras from IDS

スループットの向上

IDS の USB および GigE 産業用カメラによるラボオートメーションソリューション

ラボには、科学的な結果をこれまでよりも速く、簡単に出すことが求められています。しかも、コストと人件費の削減も要求されています。自動化ソリューションのニーズは増大し、検体数が増加を続ける中でも、処理時間の短縮化が求められる状況で、ロボットベースの分析が生体分析テクノロジーにおいて注目を集めるようになっています。ハイスループットプロセスの自動化についても、この傾向にあります。これは、大量の検体が特定の基準について系統的に試験される、分析手法です。Karlsruhe Institute for Technology (KIT) は、単調な手作業を実行する、モジュール型ラボロボットシステムを開発しました。従来人間が行っていた検出と分析を、IDS の産業用カメラと LabView および最新式のマシンビジョンテクノロジーを組み合わせて実行します。

ハイスループットプロセスは、生体分析テクノロジーにとってきわめて重要です。生物学的プロセスと制御メカニズムの解明、医薬品承認プロセスにおける毒物分析、物質の有害性分析において、活用されています。このようなプロセスではすべて、個々の作業を一定の順序で実行しています。通常、検体は分析を始めるときに分析用容器に用意されます。実際の分析は、物質を追加するか、化学的または物理的作用を与えて検体の反応を誘因して実行されます。続いて検体が検査され、プロセスの最終分析が行われます。

用途

使用される検体は主に、ゼブラフィッシュなどのモデル生物です。体長 5 cm ほどのこの魚の胚には、モデル生物として理想的となるさまざまな特性があります。ゼブラフィッシュは飼育に費用がかからず、定期的に大量の卵を産み、母親の体外で発育します。体は透明で、生物学上の典型的な実験を行うために十分な大きさです。研究結果は、ヒトに簡単に応用できます。

ゼブラフィッシュの胚にはさまざまな特性があり、モデル生体として理想的です
ゼブラフィッシュの胚にはさまざまな特性があり モデル生体として理想的です

ゼブラフィッシュを利用した現行の研究は、他のモデル生物を使用した研究と同様、手作業で実行すべき処理数が多いため、スループットの向上は非常に限定的です。そのため、効率性の向上と同時にコスト削減にも役立つ、生物分析向けのオートメーションソリューションが望まれています。Karlsruhe Institute for Technology (KIT) の開発プロジェクトの一環として、Alexander Pfriem 博士は、ゼブラフィッシュを使用する完全自動のハイスループット分析という新しいアイデアを思いつきました。これにより、手作業が完全に除去され、スループットが飛躍的に向上します。

同博士によるモジュール型システムでは、分析のサブプロセスは 4 台のラボロボットを使用して自動化されます。分析手法に応じて、これらのステーションをスタンドアロンソリューションとして、または必要な場合は組み合わせて使用できます。個々のステーションは移送システムによってリンクされ、マイクロプレートをロボット間で受け渡しします。このプラスチック製のプレートには、検体を保持するための独立したウェルがあります。プロセスチェーンの自動処理は、高性能カメラと対応するマシンビジョンソフトウェアによって可能になります。検体条件の評価や判定など、検出および分析操作は長時間を要するものですが、ラボのスタッフが実行する必要はなくなりました。

システムでは、IDS の USB または GigE 接続を搭載した SE シリーズの産業用カメラが使用されています。このシリーズのカメラはまさに万能です。小型でコンパクトながら丈夫で、多様なセンサーおよび解像度で利用できます。カメラのハウジングはねじ止め式で固定されるので、ほぼあらゆる場所に簡単に固定できます。ねじ止め式 RJ45 コネクターの他に Hirose 製 6 ピンコネクターを備え、電力供給とトリガーおよびフラッシュ制御用デジタル I/O に使用します。これらは光絶縁され、最大 30 V の信号を処理でき、オートメーションでの使用に最適なモデルです。

Alexander Pfriem 博士は、自分の用途に対する要件を次のようにまとめています。「カメラは、ガントリーロボットの非常に狭い空間で使えるように、コンパクトでなければなりません。適切なレンズを使用したとき、0.3 ~ 3 mm の非常に小さな構造も、動作距離 5 ~ 15 cm で十分な詳細度で再現できる解像度を発揮する必要があります」

自動化された分析は、魚の仕分けから始まります。このとき、ペトリ皿に無作為に振り分けられた稚魚を、ピペットを使用してマイクロプレートに移します。これをカメラで撮影します。画像は IDS の UI-5480SE 産業用カメラモデルで撮影されます。このカメラはギガビットイーサネットインターフェースを備え、解像度 5 メガピクセルの onsemi 製 CMOS センサーを搭載しています。

その後、マイクロプレートを次のステーションに渡して、自動的に分析を進められます。並列型顕微鏡、心拍用顕微鏡、蛍光モジュールを使用できます。並列型顕微鏡に搭載された 4 台のカメラがマイクロプレートのウェル内の稚魚を撮影して、大量の検体について予備的分析を超高速に実施できます。UI-6240SE タイプのカメラは GigE インターフェースも搭載し、解像度は 1.3 メガピクセル (1280 x 1024 ピクセル) です。「並列型顕微鏡と 4 台のカメラによって、大量のマイクロプレートを 1 つの画像または画像シーケンスを使ってすばやく撮影できます」と、Pfriem 氏はステーションの主な利点をまとめています。「モジュールは約 30 秒で 96 枚の画像を撮影でき、マイクロプレートの 96 個のウェルをすべて撮影できます。従来の高解像度ラボ用顕微鏡では 2 分以上かかり、無用に大量のデータも生成されます」

4 台のコンパクト GigE 産業用カメラを備えた並列型顕微鏡
4 台のコンパクト GigE 産業用カメラを備えた並列型顕微鏡
心拍用顕微鏡に取り付けられたカメラからの画像で、画像分析を使用して稚魚の心臓の位置を確認できる
心拍用顕微鏡に取り付けられたカメラからの画像で、 画像分析を使用して稚魚の心臓の位置を確認できる

次の心拍用顕微鏡には 2 台の UI-5480SE GigE カメラが取り付けられています。最初のカメラで、稚魚が入ったマイクロプレートのウェルを撮影します。マシンビジョンシステムで、稚魚の心臓の位置を特定します。2 台目のカメラは稚魚のぴったり真下に配置され、大きく拡大した一連の画像を撮影し、拍動を撮影します。ここでも、効率性の飛躍的な向上が達成されています。手作業で 96 匹の稚魚を整列させて個別に短い動画を撮影するのは、一般に数時間かかります。それに対して Alexander Pfriem 博士によると、ハートビート顕微鏡では、マイクロプレート上の 96 個のすべてのウェルについて、わずか 18 分でウェルごとに 6 枚の連続画像を撮影できると言います。

蛍光モジュールは、特定の蛍光発光パターンを持つ特定のゼブラフィッシュを選択します。e2V 製 1.3 メガピクセル CMOS センサーの卓越した光感度を活かして、コンパクトな USB 2.0 バージョン SE カメラシリーズを使用します。

データ量を削減するため、グレースケール画像のみがカメラからインポートされます。最新式のマシンビジョンソフトウェアが、画像から必要な情報を抽出し、アルゴリズムに基づいてその後のプロセスを決定します。画像分析は定評ある標準ソフトウェア LabView で実行されます。このソフトウェアはロボット制御にも使用されています。産業用カメラは、IDS が LabView 専用に開発したプラグインを使用して接続されます。

このプラグインには一連の「仮想計器」が含まれ、カメラを簡単に設定して LabView プログラミングに組み込めます。LabVIEW Vision Development Module は、画像認識およびマシンビジョンアプリケーションの手軽な開発に理想的で、強力な機能のライブラリが付属しています。さらに複雑な画像素材の評価を実行できます。

視点

ロボットシステムに基づく自動プロセスチェーンに対する新しいソリューションには、合計 8 台の IDS 産業用カメラが含まれています。自動化されたモジュール型ラボロボットシステムで、画像をすばやく簡単に撮影して、画像分析をサポートします。これによって画像ラボ分析のスループットが向上し、効率が改善され、コストが削減されます。

IDS industrial camera USB 2 uEye SE
IDS industrial camera GigE uEye SE