安全の確保
爆発の危険がある現場で「ロボットの目」として働く IDS の産業用カメラ
風雨にさらされる過酷な環境、極端な暑さや寒さ、火災や爆発の危険。人間が入りたがらない環境での定期的または臨時の安全性チェックには、無人システムのロボットが使用されます。ハルステレン (オランダ) を拠点とする ExRobotics B.V. は、この分野でトップクラスのエキスパートです。同社の製品は、人間の視覚、聴覚、嗅覚、触覚、そして手指の代わりになります。同社では IDS Imaging Development Systems GmbH の産業用カメラで画像処理を行っています。
応用
特定の産業分野では、極端な環境での作業が不可欠です。従業員のリスクを削減するため、ロボットの利用が増えています。石油ガスの多国籍グループとの長年の協力関係をもとに、ExRobotics は危険な領域の検査や監視専用の一連のロボットを開発しました。主な対象市場は、過酷な気候条件にある地域や潜在的リスクが特に高い地域での無人石油ガス施設で、原子力、鉱業、エネルギー、化学産業などの市場も対象としています。
同社は、すべてのロボットがコンポーネントレベルで IECEX Zone 1 または ATEX 認定を取得し、防爆の国際指令または欧州指令に準拠することを、非常に重視しています。このため、構成ごとに新たな認定を受ける必要がなく、Exrobotics はモジュール方式ですばやく生産できます。
基本的な考え方は、シンプルかつ独創的というものです。デバイスはワイヤレスネットワークを通じて、安全な制御室にいるオペレーターと通信します。人間のオペレーターは危険な区域に立ち入る必要はありません。さらに、移動時間と費用も削減されます。陸上でも海上でも、複数の場所にある複数台のロボットの制御を同時に、簡単に実行できます。しかも、数百キロ、さらには数千キロも離れた場所から制御できます。
「ロボットを 9500 km もの距離から動かせることを実証しました」と、ExRobotics の宣伝担当ディレクター、Samir El Awadi 氏は最近行ったテストを振り返ります。オランダの ExRobotics プラントにあるロボットを、地球の反対側のリオデジャネイロ (ブラジル) から制御したのです。これは重大なことで、中東、北米、極東などの石油ガス業界の主力業者にとって遠隔地からの制御は不可欠だからです。
第一世代のロボットである ExR-1 は、完全にリモート制御で動作します。つまり、制御と誘導には常にオペレーターが必要です。「当社の第一世代の製品は、人間の視覚を利用して、画像を解釈しています。マシンビジョンを追加することで、人間の負担を軽減しようと取り組んでいます。特に、ガスプリュームと振動の検知に力を入れています」と Samir El Awadi 氏は説明します。さらに機能を発展させた「上位製品」の ExR-1.1 は、定期的なセキュリティチェックの独立した実施を目的に設計されています。ユーザーは、一般の 4G ネットワークでロボットを遠隔地から直接操作するか、自動運転させるか、選択できます。この場合、オペレーターの仕事は、警告メッセージに応答し、必要に応じて後で監視情報を確認するだけです。ExR-1.1 は、自己結合型および自己充電型で、メンテナンス回数は 1 年に 2 回までになるよう設計されています。
ロボットのセンサーが、それぞれオペレーターの目と耳として機能します。マイクが取り付けられており、音声を監視します。また、3 台の uEye カメラが取り付けられています。18 メガピクセルセンサー搭載の USB 3.0 UI-3591LE-C-HQ は前方を視認し、3.1 メガピクセル搭載の 2 台の USB 2.0 UI-1461LE-C-HQ カメラはナビゲーションを担当します。ロボットは検査場所を自動的に移動し、現場に到着したらオペレーターに通知して検査の準備を整えます。白線や、ビーコンなどの信号を、移動方向の目印として使用します。
極端な高温や低温でも、丈夫で信頼性があることが、カメラを選択する 2 つの決定的な基準となります。IDS カメラは標準のビジョンインターフェースもサポートします。もちろん、実装されたセンサーとモデルの速度も決め手として重要です。
ExRobotics は総合的な IDS Software Development Kit (SDK) の一部である uEye API を使用して、カメラをシステムに統合しました。Windows および Linux 用 (32 ビットおよび 64 ビット) SDK または IDS Software Suite が付属します。これは、USB 3.1 Gen 1、USB 3.0、USB 2.0 または GigE 接続のいずれであっても、全モデルで同一です。さらに、ExRobotics は、ロボットの画像を処理できる、独自のソフトウェアを開発しました。非常に使いやすいズームおよびスナップ機能が含まれ、これは監視や検査中に詳細画像を確認するために重要かつ必須です。
USB 3.0 モデル UI-3591LE-C-HQ は、onsemi 製 18 メガピクセル CMOS カラーセンサーを搭載し、きわめて高い解像度を達成します。光感度がきわめて高いシングルボードカメラで、微小な細部も逃さず撮影し、被写体との距離や明るさが変化する条件での画像撮影に最適です。これは、ExRobotics の目的にぴったりです。コスト効果が高い汎用プロジェクトカメラは小型サイズなので、狭い場所にも簡単に統合できます。 やはり onsemi 製の光感度が非常に高い CMOS センサーを搭載した USB 2.0 UI-1461LE-C-HQ は、すべての要件を満たします。解像度 2048 x 1536 ピクセルの ½" 大型フォーマットセンサーで、非常に高い色精度と超低ノイズ性能を発揮します。コスト効果の高いコンパクトボードレベルカメラは、2 つの GPIO、トリガーとフラッシュ、さらに外部デバイスをトリガーする I²C バスを備えています。
今後の予定
「ロボットは石油ガス表面処理施設にとって目新しいものですが、信頼を寄せられるようになっており、弊社には世界中から引き合いが来ています。2018 年下期には、10 台のロボットを NAM で導入予定です。NAM は Shell と ExonMobil のオランダにおけるジョイントベンチャーです。これは世界初となります」と、El Awadi 氏は請け合います。これらの最初のバッチのロボットは、-20 ~ 50 ℃の範囲で動作できます。軽微な修正を加えることで、-40C ~ 60 ℃への拡張も射程圏内です。
機能面での重点は、自律性、クラウドベースのストレージシステム、人工知能と組み合わせた画像処理の多用へと移っていきます。ExR シリーズのロボットは単なるツールではありません。安全の確保において独立した支援者となります。
クライアント
ExRobotics B.V. は、爆発の危険性のある施設でのロボットソリューションに特化した、先進的な国際的企業です。危険性をはらむ遠隔施設での安全性チェックを遠隔から実行できる、Ex 認定ロボット (ATEX および IECEx Zone 1) を生産しています。
https://exrobotics.global/