柔軟性を最大化

多くの画像処理用途では、動作距離が変動します。生産ラインの収益を十分に上げるには、大量生産だけでなく少量生産を手掛ける必要が強まっています。このため、新製品に合わせて、動作距離の変化にすばやく容易に対応できることが求められています。液体レンズを搭載したカメラは、被写体との距離に数ミリ秒でフォーカスを合わせ、数百万サイクル使用しても摩耗せず、可動部品はありません。IDS のモジュール型「アクティブフォーカス」(AF) ボードレベルカメラと Edmund Optics (EO) 製の液体レンズがあれば、被写体との距離が変化するカメラアプリケーションの実装が、簡単になります。

Corning Varioptic 液体レンズは、エレクトロウェッティングの原理に基づき、液体の表面張力を電界によって操作します。これによって変形した水滴を、光学レンズとして使用できます。この原則に従い、液体レンズは 2 つの混和しない液体を含むセルで構成されています。これらの液体は屈折率が異なり、従来のガラス製レンズと同様に、境界面で光を反射します。最大 70 V までの電圧を印加すると、液体間の表面張力の比率が変化し、境界面の曲率半径を制御できるようになります。

導電性液体の表面張力と、2 つの液体の境界面の曲率半径を、電界によって系統的に変化させ、「レンズ」の焦点距離を変化させます。

今年 EO が、Corning Varioptic 液体レンズを使用した S マウント (M12) レンズの新シリーズを、産業用画像処理の国際トレードショーである VISION Stuttgart で発表します。

開口部に液体レンズを統合すると、レンズがコンパクトになり、4 つのすべての焦点距離 (6 ~ 16 mm) で F/2.4 という小口径が実現します。光学機器は液体レンズに合わせて設計されるので、本製品シリーズでは 1/2 インチまたは 1/1.8 の大型センサーフォーマットで高画質を達成できます。光学機械設計なので、レンズの取り扱いはシンプルです。これらは機械式止め具にねじ止めされ、最小距離から無限遠までの焦点調整は、液体レンズを通じて行われます。さらに、後部レンズグループは取り外せるので、ユーザーは液体レンズに直接アクセスできます。液体レンズを 180°回転させると、カメラを電気的に接続しやすくなります。uEye LE USB 3.1 Gen 1 "AF" ボードレベルカメラには、S マウント付きと CS/C マウント付きがあります。Varioptic 液体レンズを使用するすべてのレンズは、ハードウェアおよびソフトウェアと互換性があります。

IDS Imaging Development Systems GmbH の uEye LE USB 3.1 Gen 1 "AF" モデルは、コスト効率に優れたボードレベルカメラで、フォーカス可能な S マウント付きまたは CS/C マウント付きモデルがあります。液体レンズは、追加のコネクターボードを通じて制御されます。これはカメラボードのデジタル入出力に接続され、液体レンズドライバーによる I2C 通信も可能になります。Varioptic を uEye ソフトウェアに完全に実装したので、ユーザーインターフェースまたは uEye プログラミングインターフェース経由で産業用カメラの焦点を簡単に調節できます。モジュール型カメラコンセプトにより、ソフトウェアとハードウェアの両方を、さまざまなアプリケーションへと容易に拡張できます。必要な液体レンズをユーザー自身で決定し、取り付けることができます。Varioptic 液体レンズを使用するすべてのレンズは、互換性があります。

液体レンズは、画像の初期セットアップおよび操作中の高速フォーカス調整を実現し、カメラアプリケーションの柔軟性が最大限に高まります。特に、人の手が届きにくい場所でカメラが使用されるときでも、フォーカスをソフトウェアから簡単に再調整できます。

新たに開発された IDS の uEye LE USB 3.1 Gen 1 アクティブフォーカスカメラモデルは、Edmund Optics の液体レンズを搭載し、統合が非常に容易で、従来のアプリケーションを少ない時間とコストで実現できます。一方で、被写体との距離が変動し、鮮明な画像を必要とする、まったく新しい用途への対処にも使用できます。