Ensenso 3D カメラによる発泡樹脂部品の正確なトリミング

自動車産業に携わる企業にとって、品質管理と工程管理は非常に重要です。高品質と継続的な改善、無駄の削減、ミスの最小化を実現するために、OEM およびサプライヤーに課せられる条件は途方もなく広範です。さらには、乗用車の内装にも厳しく注意を払う必要があります。ドライバーにとっての「快適な雰囲気」を生み出す大きな要素だからです。 車内を快適な空間にするため、発泡樹脂の加工にメーカーは相応の高い条件を要求します。すなわち、適応性があって柔軟で、長持ちする耐久性を備えながらも、心地よく見た目が良くなければならないのです。そのうえ、乗用車の内装の快適さについて全体的な印象を決定づける、大きな役割を持っています。しかし、高い品質基準には、経済的な効率性が常に伴います。

応用

ヘッドレストとアームレストを製造する米国企業の Adient はこの点を考慮して、このような発泡樹脂製の小型部品製造のサイクル率と精度を向上し、無駄を削減することで、製造プロセスの効率を向上させました。スロベニアのスロヴェニ・グラデツにあるプラントでは、このような製品の自動トリミングを行う生産ラインが稼働を開始しました。

アームレストとヘッドレストを正確にトリミングする手段が開発され、フランス企業 Gips Vision の協力を得て統合されました。同社はマルセイユを拠点とする発泡樹脂製造用の 3D システムのサプライヤーで、実際の生産ラインでの生産後に、文字通り製品の最終仕上げを行う 2 つのロボットセルを設計しました。

最初のセルでは、IDS の Ensenso 3D カメラを使用して発泡樹脂の 3D データを撮影します。まず Ensenso N20 が物体を識別します。次にロボットが製品の周囲を移動します。カメラが、発泡樹脂加工されたヘッドレストまたはアームレストからいわゆる 3D 点群を生成します。その結果、発泡樹脂製品の正確な 360° 画像が得られ、これを処理ユニットが指定された 3D モデルと比較します。実際の発泡樹脂表面上のトリム曲線の正確な位置が点ごとに決定されます。

ロボットが Ensenso で決定されたデータを使用して発泡樹脂をトリミングします

2 番目のセルで、実際の再加工が開始されます。ロボットが、セル 1 で決定されたデータを使用して製品をトリミングします。具体的には、研磨ツールで発泡樹脂を切断します。このトリミング工程で、ドライバーの気になるようなバリや発泡樹脂の不具合が取り除かれます。

システムの精度は 2/10 mm で、常時使用できます。1 時間に最大 120 個の発泡樹脂材料を加工できます。「当社の顧客である Adient にとって、これは発泡樹脂部品のトリミングを自動化する最初の一歩です」と、Gips Vision のイノベーションプロジェクトリーダー、Thomas Derrien 氏は語ります。「画像処理を内蔵したロボットによって、面倒な手作業を繰り返さなくて済むので、毎日の作業がはるかに簡単になりました。同時に、品質面でも顕著な向上が見られました」

Gips Vision はカメラとして IDS の Ensenso N20 を選びました。このモデルを統合した主な理由は、突出した速度と処理可能なデータ量でした。さらに、Ensenso N20 3D カメラの丈夫でコンパクトなアルミニウム製ハウジングと、トリガーとフラッシュ用のねじ止め式 GPIO コネクターは、生産現場の過酷な環境に最適です。すべての Ensenso 3D カメラは「射影テクスチャステレオビジョン」手法に従って機能し、これは人間の視覚をベースにしています。各モデルは 2 つの CMOS センサーとプロジェクターを使用し、撮影対象の物体に補助構造を投影します。発泡樹脂部品の場合は、これによって表面画像の精度が向上します。

2 台の CMOS カメラは、異なる位置からそれぞれ発泡樹脂部品を撮影します。両方のカメラが撮影した画像コンテンツは同一のように見えますが、撮影する物体 (ヘッドレストまたはアームレスト) の位置の違いによる差異が反映されます。カメラの距離と視野角、および光学機器の焦点距離がわかっているので

Ensenso ソフトウェアは三角測量によってこれらの視差を既知の長さに変換し、個々の画像ピクセルに対する物点の 3D 座標を決定できます。その後、加工される発泡樹脂部品の 3D 点群に統合します。

ステレオビジョンの品質は、照明条件と物体の表面テクスチャに直接的な影響を受けます。発泡樹脂のテクスチャは、滑らかな面または反射面と比べると簡単に認識できるので、1 つの画像ペアだけで十分な精度を達成できます。Ensenso N20 モデルを使用することで、画像を高速に取得でき、3D 点群をすばやく評価できます。

Ensenso N シリーズは、システムインテグレーターと顧客の両方にとって、精度の面ならず、経済性と速度の面においても、納得のいく製品です。

今後の予定

メーカーとサプライヤーに対する品質と価格への要求が高まっているのは、自動車産業だけではありません。デジタルプロセスに向けた変化は、他の産業でも推進されています。そのため、フランスの企業 Gips Vision は発泡樹脂生産用の市場主導型の 3D アプリケーションを開発し、さらには類似したアプリケーションにおける専門知識を取り入れています。Ensenso 3D カメラは、品質保証からピックアンドプレースまで、多岐にわたる応用事例での有用性が実証されています。

移動物または静止物 (光沢面、暗い面、反射面でも可) の特殊なディテールの精密検出、マルチカメラシステムの使用または適応型ロボット制御など、Ensenso 3D カメラ搭載の 3D ビジョンおよびロボットビジョンアプリケーションは、ロボット技術および自動連続生産での日常業務を促進します。スケジュール通りに業務を進められ、精度と経済性を両立します。