しかし、人工知能を利用した画像処理など、AI ビジョンの話題となっているテーマでは、データセキュリティについて多くの人がいまだに不安を感じています。それというのも、公共スペースなどの新しい領域で、使用されることが増えてきているからです。たとえば車両やバスの中で、従来のバックミラーの代わりにカメラが使用され、運転手に危険を事前に警告します。交差点での交通量をカメラで分析し、信号の切り替え時間を調整して交通の流れをスムーズにします。また、駐車場の空き状態を録画して、カーナビを通じて空いている駐車スペースを運転手に通知します。それでも、カメラと言えば監視や自分の画像の保管について気がかりな点です。さらに、人工知能の知識の面では、能力や目的の用途についてまだ誤解や懸念があります。

AI ビジョンでデータを匿名化

AI ベースの組み込みビジョンは、画像材料素材を現場で直接匿名で処理するための、カメラに欠けていたパズルのピースです。一般的な捉え方とは異なり、AI は既知の画像材料の類似性または差異を分析するために、膨大の量のデータを保管しません。画像の背景にある無作為の顔の画像がデータベース内に永遠に残され、データ保護違反が見つからないという不安があります。その一方で、現在使用している AI は「弱く」、教えられたことしかできません。それ以上でもそれ以下でもないのです。ニューラルネットワークを適切な画像材料でトレーニングすると、指定された情報で画像内に繰り返し現れる特定の特徴を関連付けるよう学習します。たとえば、特徴のある形状や点または領域の集合などがあります。ML アルゴリズムでこの状況を説明する必要はありません。AI はこの点では事実上盲目です。顔とはどのようなものかを知らなくても、顔を認識することができます。AI は全体像を認識せず、トレーニングされたユースケースの対象外の複雑な関係を認識できません。

比較により、意識的に何かを知覚する人間は、まったく違う状況であっても、自分が「学習」または「記憶」したことを忘れず、常に覚えています。現時点の AI はこのような動作をトレーニングされず、パフォーマンスの面でもそうすることはできません。そのため、AI ビジョンの結果は、高度に汎化または匿名化されたデータに基づいてのみ生成されます。この理由で、AI ベースの画像処理は、プロセス中にデータセキュリティに違反しない、優れたツールとなります。

完全に自律的なエッジ AI デバイスでは、画像データを変更または匿名化してから、結果データを送信できます。このようにすると、個人の元データをデータ保護規制に従って処理できます。
完全に自律的なエッジ AI デバイスでは、画像データを変更または匿名化してから、結果データを送信できます。このようにすると、個人の元データをデータ保護規制に従って処理できます。

エッジコンピューティングでデータストレージを回避

画像データがカメラでも直接評価され、結果だけが渡される場合、「組み込みシステム」と定義されます。この場合、処理に関連する情報がデバイスから直接抽出され、画像材料の保存や転送、セキュリティ対策としての暗号化は不要です。そこでスマートカメラの場合、機密データをデバイスから外部に出さずに済み、他人の手に渡って顔を結び付けられることもありません。個人データに関するデータ保護に準拠するため、エッジコンピューティングは一元的なデータストレージを回避する非常に安全で有効な手段です。

すでに登場しているエッジ AI

まとめると、AI ベースの組み込みビジョンソリューションは、スマートシティ用途など、機密性の高い個人データの匿名処理を実現して保証する、理想的なテクノロジーの組み合わせとなります。さらに、インテリジェントなカメラという、適切なデバイスが市場にすでに登場しています。ビジョンアプリを通じて、IDS NXT AI カメラなどを機密性の高いユースケースに容易に統合できます。関連するクラウドベースの AI Vision Studio IDS lighthouse により、機械学習やアプリケーションプログラミングの事前知識がなくても、適切なビジョンアプリと必要なニューラルネットワークの両方を誰もが容易にすばやく作成できます。IDS NXT カメラは完全に自律的に機能し、結果を直接生成します。また、送信する前に、検出した顔のピクセレーションなど、画像材料を修正できます。IDS NXT は、使いやすいツールを備えた AI ベースの画像処理として、誰もが使用できます。エッジ AI がセキュリティ上の問題ではないことを誰もが自分で確認でき、完全に匿名化されたデータ処理のソリューションとなります。