推論カメラの AI アプリケーション
推論カメラと AI アプリケーションにおけるその役割に関する「Insights from Industry」
インテリジェントカメラを基盤とする用途の可能性は、ほぼ無限です。テクノロジーはほぼすべての業界を変革しており、もはや画像処理エキスパートだけの問題ではありません。製品セールススペシャリスト Rob Webb が AZoOptics に、最新の開発内容と、食品業界に与える影響について語ります。「Insights from Industry」インタビューの抜粋をお読みいただけます。
食品加工業界において IDS NXT Experience Kit は、他社がまだ提供していないどのような機能をもたらしますか?
食品はそもそも有機製品であり、ある決まったルールセットでは特性化が困難です。そこで、AI ベースの画像処理で製品のばらつきに対処し、製品や製品内の欠陥を識別し、仕分けや品質管理に使用できます。IDS NXT Experience Kit が持つユーザーにとってのメリットとは、使いやすさです。ほとんどの食品加工施設では何らかのオートメーションのエキスパートを擁していますが、マシン制御や PLC のプログラミングには長けていても、画像処理は別の専門分野です。IDS NXT Experience Kit により、画像処理を学習したり、この部分を扱うサードパーティを採用したりしなくても、オートメーションエンジニアがすばやく容易にソリューションをセットアップできます。基本的には加工チェーン全体において自己完結します。
コストはもちろん、どのプロセスにとっても重要な側面で、IDS NXT ソリューションの実装および使用にかかるコストは比較的低いため、きわめて短期に投資を回収できます。品質保証を担当する人員を、オートメーションに適していない別の分野に振り分けられれば、数か月間で ROI を達成できます。
アグリテックや食品加工などの業界に AI やエッジ処理という技術を導入することは、どの程度重要なのでしょうか。
UK が EU から脱退し、新型ウイルスが蔓延する現在の状況において、人材を確保することが非常に難しくなっているという報告が多数上がっています。このような難問以外にも、人件費が高騰しており、農業や食品加工などの利幅が小さい業界では、オートメーションがこのような課題の解決に役立つと考えられます。人工知能はどの分野にも適用できるというわけではありませんが、このような業界では製品のばらつきがあり、作業環境が過酷なことから、AI ベースの画像処理とエッジデバイスが有効であることは明らかです。
IDS NXT カメラの開発において、どのような大きな課題があり、それらをどのように解決されたのでしょうか?
主な課題は、AI ベースの画像処理をエッジデバイスで処理できるようにすることです。AI 処理はリソースを大量に消費します。ニューラルネットワークには数百万ものパラメーターが使用されることがあり、処理リソースやメモリリソースを慎重に管理する必要があります。また、典型的な組み込み CPU では AI 処理を実用的なレートで処理する馬力がありません。これに対処するため、IDS では FPGA AI アクセラレーターコアを開発し、IDS lighthouse で作成したニューラルネットワークの最適化に尽力し、IDS NXT カメラプラットフォーム上で AI 処理が効率的に実行されるようにしました。
アプリベースのアプローチを採用したことで、IDS NXT にはどのようなメリットがありますか?
このようなインテリジェントカメラの当初の考え方は、スマートフォンの使い方をベースにしていました。新しいスマートフォンを購入すると、メーカーによっていくつかのアプリがあらかじめ設定されており、ユーザーは必要に応じて他のアプリをダウンロードしてカスタマイズします。IDS NXT カメラには、ビジョンアプリとして多数のアプリがデフォルトで提供されています。AI ベースの画像処理に対応し、OPC UA、REST API、シリアルインターフェース、汎用デジタル出力を介して多様なシステムと連携します。しかも Vision App Creator を使用すると、可能性の範囲が広がり、お客様が自分でビジョンアプリを開発して IDS NXT カメラを垂直市場向けの専門性が高いソリューションへと転換できます。たとえばドイツのあるお客様は、独自の姿勢推定アルゴリズムを作成してカメラ上で実行し、ピッキングアプリケーションに座標を提供しています。さらに、カメラが Universal Robots のロボットと直接通信するためのインターフェースも作成しています。