(3D) カメラ技術で欠陥ゼロ生産?
ソフトウェア支援型カメラ画像評価は、生産プロセスでの欠陥および不揃いの早期検出を支援しま す。この早期欠陥検出は、品質保証に大きく貢献します。そのため、生産の欠陥をゼロに近づけよう と、最先端のカメラ技術を備える生産ラインが増加しています。
製品とプロセス品質を向上させるという目的のもと、製造手順は常に変化を遂げています。時間とコ ストの強い圧力を受けながら、スループットを増加し、ムダを減らそうと、テスト段階の自動化に多 大な努力が払われています。このような目的は、機械の手を借りずには達成できません。品質保証機 能の自動化が進むにつれ、基本的でありながら時間とコストがかかるラボテストは「現場のインライン」 製品検査に置き換えられています。このシナリオでは、現代のカメラ技術がテスト被写体とその特長 の概要を、生産工程が進む中で、一連のイベントを自発的に中断することなく、常にほぼどこからで も維持します。画像処理と連携して、カメラ画像の使用により、さまざまなメリットと使用方法が得 られます。「光学的測定とテスト手順」により、製造プロセス中に極めて高速な品質テストを実行で き、摩耗はまったくありません。産業用カメラをシンプルなバーコードリーダーの代わりに使用する と、コードの内容を読み取れるだけでなく、コードの品質、位置揃え、色、サイズ、周辺状況などを 判定して評価できます。これによってテスト機能が拡張され、テスト品質も改善されるので、品質保 証の自動化がさらに簡単になります。
カメラは、修正が不可能または困難な欠陥が発生した場合、欠陥による影響が現れる前に、早期検出 できます。しかし、どのようなカメラ技術が、測定およびテスト機器に適用される厳格な要件を満た し、マシンが自律的に判断を下し、人間に最適な支援を与え、さらには人間の代わりとなれるので しょうか?
「3D 画像処理で、測定とテストプロセスの柔軟性と精度を驚くほど向上できます」
最新の 3D カメラ技術によって、ロボットが環境を分析し、さまざまな状況に自律的に応答できるよう になりました。現場での物体の大きさや位置に加えて、このデータも、基準物体に対する偏差や不備 について、正確な結論を導き出せます。このため、インライン検査が可能になり、「正しい」製品コン ポーネントが組み立てられているかどうかが示されます。
生産に多数のバリエーションが使用される自動車業界では、ミスが発生する可能性が高くなっていま す。顧客は、それぞれ固有の仕様に従って完全な車体を組み立てます。各種のタイヤ、エンジン、シャーシ、内装部品を選びます。特に生産担当者にとって、間違った部品や欠陥のある部品を取り付 ける前に、タイムリーに警告を発生させる自動化システムは便利です。また、事後の検査、またはミ スによる生産ダウンタイムのリスクの検査に必要な作業と時間も減少します。
「自動車の構成における高度な個別化により、当然ながら広範なバリエーションが生まれ、カメラ技術の助けがなくては、管理やチェックは実質上不可能となっています」
IDS は、シュトゥットガルトで 2018 年 4 月に開催された品質保証の国際展示会「Control 2018」におい て、「3D 物体検証」の事例のデモを行いました。デモシステムは、Ensenso N35 3D カメラで物体を再構 成し、HALCON 画像処理を利用してデータの比較を実行しました。このため、生成された 3D データを 基準モデルと比較し、検査と不備を検出しました。3D 画像処理は、人間の眼ではとらえられないテス ト物体の不備を検出します。製造物の品質は、後続の Ensenso の 3D カメラを使った超高精細デジタ ル化によるプロセス手順に続いて物体検証の画像処理を行うことで、大きく改善できます。
「3D は 2D カメラ技術を補完します。いずれの技術も固有の利点があります。2D と 3D の組み合わせで、現在および将来のタスクを実行し、生産ミスを効果的に最小化 します」
Martin Hennemann 博士にとって、3D 技術は 2D カメラ技術をさらに補強するものです。組み合わせて 使用することで、さらに広い範囲の機能を実行できるようになります。2 つの技術はそれぞれ、特定 用途向けの利点があります。3D データでは、形状、表面構造、空間内の物体の位置を特定できま す。2D データは、エッジと色を正確に検出し、マーキングを読み取れます。IDS の制御デモでは、3D データを使用して物体の比較を実行します。部分的なコードでも存在すれば、特定に役立ちます。理 想的には、2D カメラ画像でデコードされます。自動車メーカーは、組み立てたボディの隙間寸法を検 出し、仕様に対して正確性をテストまたは測定するため、カメラベースの検査手段を 3D および 2D 技 術と組み合わせて使用して最終的な検査を実行します。一般にカメラ技術は、理想的な欠陥ゼロ生産 に近づく多くの方法を提供します。生産ミスを効果的に削減するには、適用するテスト基準に応じ て、1 つまたは他の技術、さらには 2 つの技術の組み合わせが必要になります。
カメラシステムは、製造での手動プロセスもサポートします。手動での作業場で手動のワークフロー をモニターします。画像評価では、オペレーターが正しい部品を取り上げたか、正しい数のネジを取 り付けたか、部品が忘れられていないかをチェックします。下流のシステムは、モニターのサウンドま たは視覚的アラート、または投影により、作業が正しく行われたか、不適切だったかを示します。こ れにより、生産中の品質管理コンポーネントが確保されます。
カメラと生産技術は、両方とも常に発展を続けています。しかし、新しいカメラ技術が既存技術を即 座に置き換えるわけではありません。ここ数年間で大きく進展した新しい 3D 技術は、物体の異なる 特長を表示できます。新しい用途が可能になり、2D カメラ技術を補強しますが、置き換えるものでは ありません。カメラも常に発展しており、「シンプル」な画像提供マシンから「スマート」な適応型画像処 理ソリューションへと進化しています。カメラ、センサー、インテリジェンス、通信、汎用性を正しく 組み合わせることで、IDS NXT プラットフォームなどのマシンビジョンシステムは、2D および 3D カメ ラの機能を提供し、さらには品質保証におけるミス防止に大きく貢献します。
今日、手直しや欠陥がない「完全」な生産はこれまで以上に熱望されていますが、多大な投資や最新技 術によっても達成できません。ただし、同時に、カメラと評価技術の使用は、欠陥ゼロ生産の目標に 向けて大きく前進しようとするあらゆる組織にとって、不可欠となりました。