テクニカルティップス

ワンクリックでラインスキャンモード

ラインスキャンや長時間の露出など、カメラ設定をすばやく切り替え

IDS Vision Firmwer 1.7 以降、新しい「User Set Control」で、最適に設定されたカメラ設定にいつでもアクセスできます。クリック 1 回で、完全なパラメーターセットをカメラメモリから読み込み、保存します。メーカーの「プリセット」を使うと、ラインスキャンや長時間の露出など、新しいカメラモードを利用できるので、エリアスキャンカメラの用途範囲が広がります。

産業用カメラには多数の便利な動作モードがあり、多数のパラメーターを使って用途に最適になるよう設定できます。「最適」な設定を見つけたら、設定を保存しておくと便利です。用途に応じて、カメラを別の設定で操作したり、複数のモードを切り替えたりします。 切り替える場合、パラメーターを 1 つずつ再入力する必要はなく、ボタンを 1 つクリックするだけで済みます。 テクニカルティップスでは、新しい Vision Firmware アップデートの拡張機能と、アプリケーションに対するユーザーセットの可能性について説明します。

User Sets の使用

2 つのカスタマイズ可能な「ユーザーセット」で、カメラ設定全体を保存し、後で読み込めます。IDS カメラの標準およびモデル関連機能パラメーターを保存すると、これらの「ユーザーセット」はこのカメラとのみ互換性を持ち、カメラの永続メモリに直接保存され、ファイルには保存されません。 さらに、ファームウェアには画像を連続撮影するための固定された「デフォルト」設定があり、ほとんどのアプリケーションと互換性があります。このプリセットは、固有のユーザーセットを作成するための開始点として最適です。

ユーザーセット制御は、IDS Vision Cockpit のパラメーターツリーを使用して記述されます。当然これらの設定は、他の GenICam 互換アプリケーションにも適用できます。

IDS Vision Cockpit
ツリービューダイアログで、すべての関連するユーザーセット制御用パラメーターを表示するには、検索フィールドに以下の正規表現を入力します。"UserSet|SensorOperationMode"
ビュースキーマ [Expert] を選択して、検索フィールドのオプションを  [Regular expressions] に変更します。

ユーザーセットからカメラパラメーターを読み込み、編集、保存する前に、目的の設定を [User Set Selector] ノードで選択します。ユーザーセットの読み込みと保存は、画像撮影を停止している場合にのみ実行できます。

[User Set] コントロールの GenICam ノード
[User Set] コントロールの GenICam ノード

設定の保存

[UserSet0] または [UserSet1] を選択して、[User Set Save] を実行して、現在設定されているすべてのパラメーターを 1 つのセットに保存します。

[DeviceUserID] およびカテゴリ "GigEVision""LUTControl" の設定は、保存されません。
DefaultLinescanLongExposure ノードは、メーカー作成の書き込み禁止プリセットで、読み込みのみ可能です。

設定の読み込み

モデルに用意されているすべてのユーザーセットを読み込めます。該当するセレクターを選択して、[User Set Load] を実行します。Linescan および LongExposure セットも、カメラの動作モードを変更します。アクティブなカメラ動作モードは、SensorOperationMode モードからいつでも照会できます。しかし、このパラメーターは書き込み可能ではありません。

デフォルトセットの定義

[User Set Default] ノードを使用して、カメラの起動時に読み込まれるデフォルト設定を定義します。これにより、ソフトウェアを介することなく直接、保存されたラインスキャン設定でカメラを起動できます。

ユーザー固有のユーザーセット 1 と 2 は、パラメーター設定がすでに保存済みの場合にのみ選択できます。

ラインスキャンモード

[line scan mode] を使うと、IDS Vision エリアスキャンカメラは、織物、紙、リム、シリコンウェーハなどのウェブ検査における多数のシンプルな用途にも適するようになります。 セットアップはシンプルで、システムコストは低額なので、オリジナルのラインスキャンカメラに匹敵する、コスト効果の高い製品となります。 ラインスキャンモードを備えたエリアスキャンカメラの最大の利点は、基本のエリアスキャンモードで目的の画像シーンを簡単にセットアップでき、後で再調整できることです。 ラインスキャンプリセットはカメラ設定を最適化し、画像の中心に 1 つのセンサーラインを捉え (設定可能)、移動する物体を高いライン周波数で連続してスキャンします。 カラーセンサーの場合、2 本のラインが撮影され、カラー情報を計算します。アクティブなラインが組み合わされ、PC に転送される前に完全な画像が作成されます。高さもパラメーターで調整できます。

ラインスキャンモードでの画像ジオメトリの設定
ラインスキャンモードでの画像ジオメトリの設定

すべての関連する画像ジオメトリパラメーターを IDS Vision Cockpit のビューに表示するには、正規表現 ^Width|^Height|^Offset X$|^Offset Y$|Sensor Height を使用します。

画像ジオメトリは、IDS Vision Cockpit の [Camera Settings] ダイアログを使用すると、非常に簡単に調整できます。

IDS Vision Cockpit ではダイアログベースで画像ジオメトリ、カメラのタイミング、画像パラメーター、画像撮影を調整できます。
IDS Vision Cockpit ではダイアログベースで画像ジオメトリ、カメラのタイミング、画像パラメーター、画像撮影を調整できます。

アクティブなラインの位置と画像ジオメトリを定義したら、画像とライントリガーを使用して、撮影時間と速度をアプリケーションの被写体移動に合わせて調整します。ラインスキャンモードでは、エンコーダーを使用して、被写体の速度が変化する場合でもライントリガーによって定期的な間隔でアクティブなラインの撮影を開始できます。このため、スキャンされた被写体の画像は歪みません。

代表的な用途

用途 フレームトリガー ライントリガー

プリント加工ウェブ材料

フレームは光バリアなどによってトリガーできます。ライン信号はエンコーダーで制御されます。

ハードウェアトリガー

(Line0)

ハードウェアトリガー

(Line2 または Line3)

非プリント加工ウェブ材料

フレーム同期信号はありません。ライン信号はエンコーダーで制御されます。
フリーラン

ハードウェアトリガー

(Line2 または Line3)

プリント加工ウェブ材料、速度変動なし

フレームは光バリアなどによってトリガーできます。ラインをトリガーする信号はありません。ウェブの起動および停止動作は補正できません。

ハードウェアトリガー

(Line0)

フリーラン

(AcquisitionLineRate が重要)

非プリント加工ウェブ材料、速度変動なし

フレーム同期信号も、ラインをトリガーする信号もありません。ウェブの起動および停止動作は補正できません。
フリーラン

フリーラン

(AcquisitionLineRate が重要)

 

GPIO (汎用入出力) カメラ入力であるライン 2 とライン 3 は、光学的に絶縁されたライン 1 入力よりもライントリガーに適しています。外部回路は電気的に絶縁されていますが、入力の応答が迅速なので、高いライン周波数を使用する際に便利です。

パラメーターの例

代表的な用途「プリント加工ウェブ材料」のパラメーター設定は、以下のようになります。

UserSetSelector 		= Linescan
Execute >> UserSetLoad
OffsetY         		= 700
Height				= 2000
Width				= 1600
OffsetX				= 240
TriggerSelector 		= Framestart
	TriggerSource 		= Line0
	TriggerActiviation 	= RisingEdge
	TriggerMode 		= On
TriggerSelector 		= LineStart
	TriggerSource 		= Line2
	TriggerActiviation 	= RisingEdge
	TriggerMode 		= On
Execute >> AcquisitionStart

Linescan プリセットが UserSetLoad コマンドでロードされます。 AcquisitionStart コマンドによってシステムがトリガー信号を受け取れる状態になります。 "Line0" の外部トリガーソースとして、光バリアが画像撮影を開始できます。アクティブなセンサーライン (700) の露出が、ウェブエンコーダーで制御される "Line2" を介して、ウェブの速度と同期して開始されます。

ラインスキャンモードでは、撮影およびトリガーの設定を IDS Vision Cockpit で手軽に調整することもできます。
ラインスキャンモードでは、撮影およびトリガーの設定を IDS Vision Cockpit で手軽に調整することもできます。

カウンター、タイマー、または PWM (パルス幅変調) を使用したアプリケーションやトリガーの事例については、テクニカルティップス「レゴの原則によるトリガー」をご覧ください。

長時間の露出

プリセットを使用すると、長時間の露出の設定も非常に簡単になります。 [LongExposure] モードでは、1 秒を超える露出時間で画像を撮影するようカメラのパラメーターを調整します。 長時間の露出は、暗い条件で画像を撮影するすべての用途で推奨されます。露出時間が延長されるため、ゲインを増加させる必要はありません。これにより、画像ノイズも軽減されます。

プリセット [LongExposure] は、録画に使用できる露出時間を 1 秒から最大秒数 (モデルによって異なる) の間で変更します。この他に、この動作モードで [Default] モードと同じパラメーターを使用できます。

露出時間の範囲は [LongExposure] モードで変化します。
露出時間の範囲は [LongExposure] モードで変化します。

まとめ

カメラの「ユーザーセット」を使用すると、アプリケーションのカメラ設定を自分で保存または復元する必要がなくなります。クリック 1 回で、最適に設定された動作モードへカメラを手軽に切り替えられます。

長時間の露出やラインスキャンモードなどのプリセットが加わり、IDS Vision カメラが対応する用途はさらに多彩になりました。多くのラインスキャンアプリケーションでは、高度に特殊化された高速ラインスキャンカメラのライン周波数を必要としません。IDS 産業用カメラでエリアスキャンとラインスキャンモードを組み合わせることで、非常に簡単に実現できるようになりました。2 台目のカメラは不要です。 

詳細情報や新しい IDS Vision Firmware のダウンロードについては、IDS のダウンロードページにある [IDS NXT - Firmware & Software] にアクセスしてください。