uEye+ 産業用カメラ搭載のインテリジェントロボットで除草剤を不要に

有毒物質を使わずに雑草を取り除く

uEye+ 産業用カメラ搭載のインテリジェントロボットで除草剤を不要に

植物保護製品は、今日の農業にとって欠かせない存在です。作物を保護し、雑草や害虫を除去することが目的です。German Federal Environment Agency によると、2019 年、使用された植物保護製品のうち、50.6% が除草剤 (殺草剤) 群でした。ただし、目的とする効果だけでなく、人体や環境にも多大なリスクをもたらします。これにより、生物多様性や隣接区域の水質に悪影響を及ぼします。生物多様性は低下しています。2019 年、Swiss Federal Institute of Technology (ETH) Zurich の学生が、除草剤を過剰に使用することなく、よりサステナブルな農業を実現するロボットを開発するため、Rowesys プロジェクトを立ち上げました。このロボットの基盤にあるのが uEye+ 産業用カメラで、IDS Imaging Development Systems GmbH の GigE Vision インターフェースを搭載しています。

アプリケーション

チームは、電気工学、機械工学、工業デザインを専攻する 10 人の学生で構成され、わずか 9 か月間で最初のファンクショナルプロトタイプ Rosie を作成しました。ロボットには、ハウジング内部のすべてのコンポーネントを保護する外部シェルがあります。内部には強力なバッテリーが 2 つと、システムの電気部品の大部分を収容しているコントロールボックスがあります。アルミニウムプロファイルを使用し、ロボットはスケルトン構造になっています。4 本の独立して刈り取れるグースフット型の鋤で、Rosie は作付けされた植物の間から雑草を全自動で除去します。雑草は、ロボットの背後の土から引き抜き取られ、作物の列の左右に捨てられます。この方法で、環境に有害な除草剤の使用を抑止できます。ロボットは農地を自律的に走行するので、農家の負担は最小限に削減されます。さらに、ジョイスティックを使用して直感的かつスムーズに操作できます。

チームは現在、さらなる開発とシステムの最適化に取り組んでいます。さまざまな監視タスクが項目として挙げられています。長期にわたって作物を観察し、農家や栽培業者に、成長過程に関する情報などを提供することが目的です。このため、Rosie には丈夫な IDS 産業用カメラが追加されました。「画像を使用して雑草と作物を見分けて、除草剤を使わずに雑草を取り除きます」 そして、ロボットの下部にある可動ツールで、作物の周囲の雑草を直接除去します。「今後は、インテリジェントな画像処理の力を借りて、さらに多くの情報が抽出されます。たとえば、収穫高の予想データや、植物病害の早期検出などです」と、ETH Zurich - Rowesys 重点プロジェクトの Timo Schönegg 氏は説明します。

ロボットが農地を走行し、カメラが上からトウモロコシを撮影
ロボットが農地を走行し、カメラが上からトウモロコシを撮影

カメラ

使用されるカメラのモデルは、農地で使用するための特殊な仕様を満たす必要があります。「私たちの評価では、高解像度カラーセンサーを搭載し、ロボットが常時移動していても、短い露出時間で鮮明な画像を撮影するカメラが必要です。天候によっては農地で過酷な環境にさらされることもあり、埃や水滴に対する耐性も必要です」と Timo Schönegg 氏は語ります。他の選択基準は、Linux/ROS との互換性、コンパクトなサイズ、短時間で応答する高速データ転送でした。広角レンズの使用もまた、検討すべき対象でした。

Rowesys チームは uEye+ の GV-5040FA-C-HQ タイプを選びました。

私たちが選んだカメラには非常に満足しています。厳しい要件を完全に満たし、過去数か月間で大量のデータを収集できました。このデータを使用して、ソフトウェアのトレーニングを進めていきます。

— ETH Zürich - Rowesys 重点プロジェクト、Timo Schönegg 氏 —

モデルは uEye FA ファミリーの一員で、耐久性に優れ、IP65/67 保護等級に対応しているので過酷な環境に最適です。ピクセル前処理、LUT、ガンマなどの機能はカメラに統合済みなので、必要なコンピューティング能力は低くなります。

画像データで収穫高の予想データや植物病害の早期検出などの情報を提供
画像データで収穫高の予想データや植物病害の早期検出などの情報を提供

暗い環境や高速で移動する被写体を撮影するときでも、優れた画質を実現するため、GV-5040FA-C-HQ には Sony Pregius シリーズの IMX273 グローバルシャッター CMOS センサーが搭載されています。このセンサーは、感度とハイダイナミックレンジの面で特に重要です。センサーの解像度は 1.58 MPixel (1456 x 1088 px) で、フレームレートは 78.0 fps です。

プログラミング言語 C++ で作成された Robot Operating System ライブラリ ROS を使用して、ロボットの制御とセンサーの読み取りが行われます。IDS カメラ向けに機能する ROS ドライバーがすでに存在しているので、統合は容易で手間はかかりませんでした。その後の画像処理向けに、ETH チームはインハウスで開発されたアルゴリズムを使用して、上記のように雑草と作物を識別します。「今記録されているデータを使用した、収穫高予想や病害の検出向けの機械学習アルゴリズムを現在計画しています」と Timo Schönegg 氏は言います。

今後の予定

農業用ロボットが果たす役割は、将来ますます重要になります。どのような環境でも、どのような照明条件や天候条件でも、確実に各種のタスクを実行できるようにするには、優れた画像処理ソフトウェアだけでなく、信頼できるカメラが何よりも必要です。このようなカメラシステムを未来のロボットで使用する方法は、3D からマルチスペクトルカメラまで、多岐に渡ります。Rowesys チームは、今後はインテリジェントなカメラベースのソリューションに特に重点を置いて取り組み、革新的なテクノロジーによる、よりサステナブルで効率的な農業の実現に貢献していきます。雑草の除去に除草剤を使わず、環境を取り戻しましょう。

GigE uEye FA - 強力で丈夫