レタスの収穫を自動化するロボットソリューション
レタスの収穫を自動化するロボットソリューション
レタスは、ヨーロッパや米国において貴重な作物です。しかし労働力不足により、この価値ある露地野菜の収穫が困難になっています。収穫作業に携わる十分な人数の季節労働者の手配が、この業界での最大の課題の 1 つです。さらに、生産者価格が賃金の上昇に追いついていないので、利幅は非常に狭くなっています。英国では、農業工学と機械の専門家が IDS Imaging Development Systems GmbH (ドイツ・オーバーズルム)
と共同で、レタス収穫を自動化するロボットソリューションを開発しています。同チームは Innovate UK が資金を提供するプロジェクトに取り組み、Grimme 農業機械ファクトリー、Agri-EPI Centre (英国エジンバラ)、ハーパーアダムス大学 (英国ニューポート)、西イングランド大学 Centre for Machine Vision (ブリストル)、そして英国の 2 大サラダメーカー、G's Fresh と PDM Produce の専門家がチームに参加しています。
プロジェクトでは、既存のリーキ収穫機械を改造して、レタスを地面から持ち上げてピンチベルトで挟みます。レタスの外側にある「ラッパー」となる外葉は、自動的に取り去られ、茎がむき出しになります。マシンビジョンと人工知能を使用して、茎を切断する場所を正確に判定し、レタスの本体をきれいに切り分けます。
「レタスの刈り取りプロセスは、G の子会社の Salad Harvesting Services LTd によると、自動化プロセスにおいて技術的に最も複雑なステップです」と、IDS 製品セールススペシャリスト Rob Webb は言います。「作成中のプロトタイプ収穫ロボットには、uEye FA ファミリーの GigE Vision カメラが取り付けられています。特に丈夫で、過酷な環境に最適とされているからです。屋外での用途なので、IP65/67 保護等級のハウジングが必要です」と Rob Webb は指摘します。
そこで選択したのが、コンパクトな Sony 製 2/3 インチグローバルシャッター CMOS センサー IMX264 を搭載した GV-5280FA-C-HQ モデルです。
「このセンサーを選んだ主な理由は、汎用性です。AI 処理にはフル解像度は必要ではなく、感度はビニングで増加できます。センサーフォーマットが大型になると、広角光学機器も不要になります」と Rob Webb は要件をまとめます。この用途では、CMOS センサーは卓越した画質、光感度、並外れたダイナミックレンジという特徴を持ち、ノイズはほとんどなく、非常に高いコントラストで 5:4 フォーマットの 5 MP 画像を 22 fps で実現し、照度が変化する環境でも使用できます。
レンズ、チューブ、トレーリングケーブルなど、さまざまなアクセサリを取り揃え、カメラハウジングやねじ止め式コネクター (X コーディング 8 ピン M12 コネクターおよび Binder 製 8 ピンコネクター) と同様に丈夫です。もう 1 つの長所は、ピクセル前処理、LUT、ガンマなどのカメラ内蔵機能で、必要なコンピューティング能力を最小限に抑えます。
2021 年のシーズン終わりにかけて、英国では収穫ロボットのプロトタイプを現地トライアルに使用します。「プロジェクトに参加できたことは光栄で、結果が出るのを楽しみにしています。単に季節労働者不足を補うというだけでなく、レタス収穫を自動化して効率性を向上させる可能性を、私たちは見出しています」と IDS Imaging Development Systems GmbH 業務執行取締役 Jan Hartmann は断言しています。
年には農作物の生産をおよそ 50% 増加させなければいけません。こうした収穫高の予測は、農業業界にとって巨大な課題です。農業は他の分野と比べてデジタル化が進んでおらず、気候変動や労働力不足の面で変革を進めるよう、すでに強いプレッシャーを受けています。未来の農業は、ネットワーク化されたデバイスと自動化にかかっています。カメラは重要な構成要素であり、人工知能はその中心的なテクノロジーです。収穫ロボットなどのスマートアプリケーションは、この問題に大きな貢献を果たすことができます。