高コントラスト環境に対応するHDR産業用カメラ
概要
HDR産業用カメラは、高コントラストなシーンにおいて、非常に明るい部分と非常に暗い部分のディテールを同時に捉えることができます。用途に応じて、Clear HDR、Quad HDR、またはSequence HDRを利用できます。IDS peakソフトウェアは、これらの技術の評価、処理、実装を統一されたワークフローでサポートします。
高ダイナミックレンジで、より多くの情報を取得
反射率の高い表面、変化する照明条件、あるいは大きな明暗差によって、重要な画像情報が見えにくくなることがあります。HDRは利用可能なダイナミックレンジを拡張し、通常の画像では白飛びや黒つぶれによって失われる可能性のあるディテールを可視化します。
産業用カメラにおけるHigh Dynamic Range(HDR)とは?
ダイナミックレンジとは、イメージセンサーが捉えることのできる明るさの範囲を指し、識別可能な最も暗い信号から記録可能な最も明るい画像情報までを含みます。シーンのコントラストがこの範囲を超えると情報が失われ、明るい部分は白飛びし、暗い部分のディテールはノイズに埋もれてしまうことがあります。
HDRはこの利用可能な範囲を拡張します。用いる方式に応じて、異なるゲイン設定や露光時間で取得した画像情報を合成し、より広いダイナミックレンジを持つ画像を生成します。
HDRを選ぶメリット
- より多くのディテールを取得:画像の明部と暗部の構造を同時に取得し、解析できます。
- 堅牢性の向上:視野内に反射、影、強い光源が存在する場合でも、より安定した画像データを取得できます。
- より信頼性の高いデータ:検査、識別、プロセスモニタリング、自動意思決定のための情報基盤を強化します。
自社開発不要。IDSならHDRを手軽に活用
HDRは単なるイメージセンサーの機能ではありません。適切なカメラ、最適なデータ取得、画像合成、出力処理を組み合わせることで、拡張された画像情報を実際の用途で活用できるようになります。
IDSは統一されたソフトウェアアプローチにより、さまざまなHDR技術をサポートしています。IDS peakを使用することで、HDR対応カメラの設定、RAWデータの取得、HDR結果の処理や可視化を行うことができます。これにより、カメラごとの個別開発の負担を軽減し、さまざまなソリューションの評価を容易にします。
IDSを選ぶメリット
- 複数のHDRモード:Clear HDR、Quad HDR、Sequence HDRは、被写体の動き、解像度、ダイナミックレンジに関するさまざまな要件に対応します。
- IDS peakによる包括的なサポート:撮像、画像合成、トーンマッピング機能がIDS peak SDKに統合されています。ユーザーは各HDR露光画像だけでなく、生成されたHDR画像およびLDR画像にもアクセスできます。
- プログラム開発不要で評価可能:HDRの結果はIDS peak Cockpit上でテスト・可視化できます。さらに、ソースコードサンプルにより、ユーザー独自のアプリケーションへの組み込みも容易になります。
- さまざまなワークフローに対応する画像データ:用途に応じて、RAWデータ、HDRデータ、または標準ディスプレイ向けに最適化された画像を利用できます。
用途に応じて選べる3つのHDRモード
Clear HDR
単一露光でより広いダイナミックレンジを実現
Clear HDRは、1つのピクセルから2段階のゲインで画像データを読み出します。これにより、暗部はより高感度で捉えられ、明部は飽和耐性を高めた状態で表現できます。センサー本来の空間解像度が維持されます。
Quad HDR
1フレーム内で複数の露光設定を実現
Quad HDRは、例えばソニー IMX900のように、異なる露光時間を持つピクセルグループを使用します。これにより、1フレーム内で複数の輝度情報を取得できます。グローバルシャッターセンサーと組み合わせることで、この方式は動きのあるシーンに特に適しています。
Sequence HDR
柔軟な露光シーケンスで最大限の画像情報を取得
Sequence HDRでは、産業用カメラが異なる露光時間で複数の画像を撮影し、それらを合成してHDR画像を生成します。露光回数や露光段階は、必要なダイナミックレンジや求める画質に応じて調整できます。このモードは、ほぼすべてのIDS産業用カメラで利用可能です。
モード |
特に適した用途 |
注意 |
対応カメラを見る |
|---|---|---|---|
Clear HDR |
被写体が移動中、あるいはわずかに動いているシーンで、解像度や色再現性が重要な用途。 |
追加の読み出し処理によりデータ量が増加し、最大フレームレートが低下する場合があります。 |
|
Quad HDR |
動体や高速プロセス、または最高レベルの空間解像度よりも広いダイナミックレンジが重視される用途。 |
異なる露光データは2×2ピクセルブロック内に分散して配置されます。そのため、実効的な空間解像度は低下します。 |
|
Sequence HDR |
高解像度と柔軟に調整可能なダイナミックレンジが求められる、静止または緩やかに変化するシーン。 |
複数画像を連続取得するため、被写体の動きや露光回数によっては実効フレームレートや最終結果に影響が生じる場合があります。 |
HDRが真価を発揮するアプリケーション例
反射性部品の品質検査
金属表面、電子部品、はんだ接合部、光沢のある筐体、塗装された車体部品などでは、強い反射と暗いテクスチャが同時に現れることがあります。HDRは、こうした情報を単一画像または画像シーケンス内でより有効に活用できるようにします。
物流、OCR、バーコード読み取り
光沢ラベルやフィルム、多様な包装材、異なる配置条件によって局所的な反射が発生することがあります。HDR産業用カメラは、コントラストが変化する環境でもバーコード、Data Matrixコード、文字情報の読み取り性向上に貢献します。
医療技術および顕微鏡用途
反射性材料や透明構造物によって、1枚の画像内に大きな輝度差が生じることがあります。ほぼ静止したサンプルでは、解像度と広い検出輝度範囲が重視される場合にSequence HDRが特に有効です。
溶接およびプロセスモニタリング
アーク光、燃焼粒子、火花、ワークの暗部によって極端な明暗差が生じます。動きに強いHDR手法により、プロセスモニタリングや後工程の解析に有用な画像情報をより多く取得できます。
ロボティクスおよびオートメーション
被写体位置の変化、多様な表面状態、完全には制御できない照明環境により、画像取得が難しくなることがあります。HDR産業用カメラは、検出、位置決め、ハンドリングにおいて、より安定した画像データ活用を可能にします。
交通および屋外用途
日光、影、ヘッドライト、トンネル、変化する天候などにより、単一シーン内で大きな明暗差が生じることがあります。このような用途では、環境認識やナンバープレート認識においてHDRが特に有効です。
IDS peakによるHDRの評価と実装
IDS peakソフトウェアは、HDR画像の取得から後処理までのワークフロー全体をサポートします。IDS peak Cockpitでは、独自アプリケーションを用意することなくHDR機能や結果を評価できます。API機能、ドキュメント、プログラミングサンプルも用意されており、実装を容易にします。
2011年より、Oliver Senghaas(オリバー・ゼンハース氏)はIDSのマーケティング責任者として、当社のグローバルマーケティング戦略を推進しています。彼は企業広報、ブランド管理、デジタルキャンペーン、ホームページおよびB2Bウェブストアのコンテンツおよび機能開発、ならびに技術文書の作成を担当しています。彼の焦点は、技術と創造性を融合させ、IDSを産業用画像処理分野において明確に位置づけることにあります。
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