新たな波を起こすアプリケーション

IDS の USB 3 カメラによる波動力学の研究プロジェクト

波は、海岸形成において中心的な役割を果たします。海岸の地形の構成には、波の生成と移動が中心的な要因になります。LEGI (Laboratoire des Ecoulements Géophysiques et Industriels à Grenoble) はこのテーマを専門としています。同機関の研究者は、波同士のエネルギー交換について詳しい知識を取得するため、特に干潟における波動力学を研究しています。目的は波浪気象学の発展です。この学問は海運業にとって直接的な重要性がありますが、長期的には、気候変動の影響のシミュレーションにも役立ちます。

応用
Research on wave dynamics  – with USB3 uEye CP
合計 8 台の USB 3.0 uEye カメラで、16 m の造波水路を撮影します

浅い水域での波は、いわゆる沖合の砂礁とは異なる動きを見せます。LEGI は現在、海岸地形に対するランダムで一定した波形とその影響を調査しています。具体的には、いわゆるソリトンの形成と干渉を観察しています。ソリトンは、形状を変化させずに波を伝達します。2 つのソリトンの干渉は弾力的で、エネルギー交換はなく、時間の遅延のみが生じます。多数のソリトンが干渉すると、周波数は完全にランダムになり、特に波の高さが変化します。これは、港湾施設やウィンドファームなど、波と構造物の相互作用に影響します。

このシステムの主な 2 つの課題は、カメラのスループットと関連する保存容量です。長年にわたり R&D Vision は、長期間にわたって超高速で画像を「ディスクに直接」記録する、独自のノウハウを開発してきました。ここで説明するアプリケーションは、非常に強力な SSD ディスクで構成される RAID 構造で、最大スループット 1.2 Gb/s のロスレス RAW データ取得を保証します。RAID 構造は、高速 SSD ディスクをベースにしています。録画が 3 時間 30 分を超えるビデオディスクの保存容量は、15 Tb です。長時間かけて現象を観察し、手順に時間がかかる実験で調査するためには、重要な前提条件です。

個々の波の状態を観察するため、長さ 36 m 幅 50 cm の造波水路を使用しました

適切なカメラ構成と画像の連続撮影を確保するため、R&D Vision は、IDS カメラ固有の全機能を完全に統合する、独自のソフトウェアスイートを開発しました。解像度 1936 x 1216 ピクセルでフレームレート 166 fps の UI-3060CP-M-GL Rev.2 は、速度と解像度の特殊な要件を満たす、最適なカメラです。Sony CMOS センサーの分光感度と低ノイズ性も、最適な画質を得るためには重要な選択基準でした。カメラの台数、スループット、ケーブル長を考慮して、USB 3 インターフェースが選ばれました。カメラの電源供給には、20 m アクティブケーブルを使用しています。

結果

画像が撮影されると、LEGI の科学者は側面の窓にある水面との接触線を抽出し、16 m の長さにわたる水位 (水面の変動) を再構成します。選択したカメラモデルによって、研究者は 100 マイクロメートルを下回る非常に高い水位の垂直解像度を得られ、超高精度の測定が可能になります。さらに、カメラの最大フレームレートで、波動の経時的な動きを録画できます。

LEGI Diphasic Flow and Turbulence チームで機械工学を担当する Nicolas Mordant 教授にとって、これは革新的なソリューションでした。「このカメラシステムは、特にランダムな事象における海面の状態を実験的に調査するために、理想的なツールです。8 台の HD カメラを同期させて使用するという、きわめて独創的なアプローチにより、時間と空間を同時に高精度で測定できます」

今後の展望

次に、科学者たちは、人工の砂浜を水路の端に作ろうと計画しています。IDS カメラは水路の端にある砂浜全体の視覚化に使用され、PIV (Particle Image Velocimetry) 方式を使用して測定を実施します。8 台の IDS USB 3 UI-3060CP Rev. 2 カメラで構成されるマルチカメラシステムによって、砂浜の形状に対する波の影響を深く理解できます。調査結果により、港や居住地を洪水などの気候変動による影響から保護するなど、沿岸施設の計画に対する重要な知見が得られます。

USB 3 uEye CP - 非常に高速、 確かな信頼性、 並外れたセンサー

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