高解像度の 3D データをカメラから直接取得

高解像度の 3D データをカメラから直接取得

自動車産業において連続的に稼働する生産ラインなどで、大量または少量の物体のビューを 3D カメラで自動的にチェックする場合、高解像度 3D 結果データを生成して、すばやく処理しなければなりません。5 MP の大型センサーと可変ベースラインを搭載したテレオカメラシステムなら、理想的な出力データを提供できます。ただし、このような高性能 3D 用途においては、インターフェースと CPU パワーがボトルネックとなってしまいます。

空間ビジョン (ステレオビジョン) の原則に従って動作する 3D カメラによるマシンビジョンアプリケーションでは、カメラ画像は高解像度のフレームレートで処理され、結果データをできるだけ迅速に移行の処理で利用できるようにします。「点群」と呼ばれる、ステレオカメラの画像データから得た 3 次元データの計算には、複数の複雑な処理ステップが必要で、これまでは強力な産業用 PC (IPC) で処理されていました。これらの結果データの品質と速度に対する要求が高まり、Ensenso X などの先進的な 3D ステレオカメラは、ギガビットイーサネットインターフェースで高解像度 2D カメラを使用しています。しかし、処理側の IPC へ 2D 出力データを転送するには、時間の遅延やデータ損失を防ぐため、ネットワーク帯域幅を最適に使用しなければなりません。それに加えて、IPC ハードウェアの処理能力は、全体的なシステムを制限しないように、常に向上させなければなりません。

高品質コンポーネントを使用することで、このような 3D カメラシステムのパフォーマンスをさらに向上できます。交換可能な 2D カメラのおかげで、Ensenso X シリーズの設計は柔軟で、特定のデータインターフェースやセンサー解像度に限定されず、速度、被写体のサイズ、品質の要件に合わせて拡張を続けられます。高解像度で高速な GigE カメラ、特殊シールドケーブル、高性能ネットワーク技術および強力な PC ハードウェアは、用途によってはあまりに高価です。さらに、これらの周辺機器のためのスペースも必要です。

新しい XR カメラシリーズでは、Ensenso は新たなアプローチを追究しています。「モノインターネット」(IoT) の原則に従って、「分散システム」内の個別コンポーネントは、それぞれが特定のタスクを実行して結果を生成し、この結果を他のシステムが直接使用できます。3D カメラの場合、これは実際の物体のピクセルの 3 次元座標になります。

オンボード 3D 処理

Ensenso XR プロジェクター装置に内蔵された SoC (システムオンチップ) により、カメラはステレオ分析などの 3D 処理自体を実行できるようになります。レンズのゆがみを補正した後、2D 出力画像は、カメラの仮想回転 (平行化) によって軸と平行なステレオシステムに転送されるので、後続するすべての分析が非常にシンプルになります。その後、静止または移動シーンに対して高度に最適化されたマッチングアルゴリズムで、録画された画像ペアから対応するピクセルを検索します。カメラには異なる視点があるので、これらのピクセルは「視差」と呼ばれる画像平面で、異なる水平方向にシフトされます。平行するステレオシステムでの幾何学的関係により、この視差は、焦点距離、ピクセルサイズ、ステレオシステムのベース長など、既知のシステムパラメーターの情報とビームセットを適用した後の、3D ポイントの空間上の奥行き測定値を mm 単位で表しています。

こうしたピクセル処理は時間と計算能力を多用し、カメラ内の補助 FPGA によって並行して実行されます。このため、3D データレートが、Intel Core i7 Quad CPU を搭載したデスクトップ PC でステレオ分析を実行する、Ensenso X システムと匹敵するものになります。

統合データ処理と FlexView2 テクノロジーを組み合わせて、画像の細部まで正確かつ高速に撮影することができました」

— IDS のプロダクトマネージャー兼 3D 画像処理スペシャリスト Martin Hennemann は言います —

新しい独立性

Ensenso XR ステレオカメラは他の 3D カメラよりも自律性が高いため、3D 用途の選択基準として、速度面以外でも重要になっています。ネットワーク周辺機器および IPC ハードウェアへのパフォーマンス要件が軽減され、3D アプリケーションの全体的な構成が単純化され、特にマルチカメラシステムで、コストが削減されます。

さらに、新しい Ensenso XR プロジェクター装置にはフロントライトが内蔵されています。使用中、作業環境の校正を支援し、周辺光が不十分または外部照明がない場合に 2D カメラ画像の画質を向上させます。GigE データ接続のほかに、WiFi の追加も予定され、配線が困難またはコストがかかる状態で一時的にデータやパラメーターにアクセスする場合に非常に便利です。

Ensenso XR 死リースの多数の機能改良により、3D カメラテクノロジーの新しい応用分野が広がります。統合データ処理は、データ交換を最適化する、次の論理的ステップです。