製品の混在を回避
医薬品業界での GAMP 準拠の自動化された生産監視
デジタル化の影響は医薬品産業に留まりません。新しいテクノロジーの使用により、新しい有効成分や治療法の研究から、生産、パッケージ、流通、使用まで、製薬および医薬品のライフサイクル全体に沿った、プロセス最適化の可能性が実現します。しかし、デジタルイノベーションには多数のチャンスがあるものの、医薬品製造に対する強力な規制要件による大きな課題も立ちはだかります。医薬品や医療機器の開発時にガイドラインに違反すると、多額のコストがかかり、評判が傷つくだけでなく、患者の健康に被害が及ぶ危険性もあるからです。このため、Good Automated Manufacturing Practice (GAMP) などの法的要件への準拠をサポートする、信頼できるシステムを利用できることが企業にとって一層重要になっています。
用途
GAMP 規制は、医薬品、有効成分、化粧品の製造品質の確保を目的としています。さらに、加工、パッケージ、保管についても品質要件が適用されます。厳格性が強まっているガイドラインの 1 つが、製品およびパッケージの印刷とマークを確実に記録し、テストするというものです。特に、誤ったラベル付けによる製品の混在を防止し、成分や最終製品のトレーサビリティを確保し、偽造に対する保護を適用することを目的としています。
ドイツ・ロットワイルを拠点とする企業 i-mation GmbH は GampBOX を利用して、医薬品産業のメーカーとサプライヤー (材料や機器のパッケージ) が GAMP ガイドラインに準拠しながらプロセス最適化を促進できる、プラグアンドプレイの画像処理システムを開発しました。
システムの最大構成レベルでは、省スペースの BoxPC、GAMP 準拠のユーザーインターフェース、耐久性に優れた最大 4 台の IDS GigE uEye FA 産業用カメラと HALCON 画像処理ソフトウェアを含みます。
医薬品の偽造を防止するため、個々の製品データ (製品識別 GTIN、有効期限、バッチ番号など) に関連するシリアル番号を 1 回だけ割り当てることが大切です。生産から流通、顧客への卸売りまで、物流チェーン全体でトレーサビリティを完全に確保するために重要です。GampBOX は信頼性のあるコンパクトなソリューションで、処方箋医薬品の偽造防止に関する 2011/62/EU 指令の法的要件を満たします。
とりわけ、運用操作の完全なトレーサビリティ (ユーザーによる操作、タイムスタンプ付き)、監査証跡の作成 (プロセス変更の監視と記録)、電子署名または電子承認による重要なプロセス手順の保護を提供します。さらに、処方箋管理やバージョン管理、個々の生産データに基づいてシリアル番号の検証を受けるユーザー操作のアーカイブも可能です。GampBOX シリーズは 3 段階で拡張でき、第 1 段階ではスマートカメラを 1 つのバッチ生産に取り入れています。第 2 段階では、スマートカメラを量産に組み入れ、個々の生産データに関するシリアル番号の検証などを実行できます。第 3 段階では IDS GigE uEye FA カメラなどの従来の産業用カメラを、量産のデータベース同期 (GS1 および ePendigree) を備えた PC 支援システムに統合します。
IDS GigE uEye FA カメラなどを 4 台まで、イーサネット経由で GampBOX に接続できます。GampBOX はカメラを完全に制御し、高レベル制御の OPC UA インターフェースまたはホストコンピューターを外部に提供します。HALCON 画像処理ソフトウェアが検査タスクの実装を受け持ちます。
パートナーシップ
GampBOX の開発に際して、i-mation GmbH は産業用カメラメーカー IDS との共同作業を決定しました。「IDS でのプロセスフローの最適化により、非常に効果的に協力できます。問題が生じても迅速なサポートが得られるので、共通のお客様へのソリューションが速やかに得られます」と i-mation GmbH のプロジェクトマネージャー Kai Weisser 氏は語り、次のように強調します。「過酷な産業環境に特に適した、優れたカメラ設定です」
「長年の経験により、i-mation は医療/医薬品セクターでの最適なソリューションパートナーの 1 社となっています」と、IDS のシステム統合担当セールスマネージャー Florian Nadolny は言います。「私たちは入念に準備を重ねたチームで、どの GampBOX ユーザーにとっても最適な個々のカメラソリューションを求めているだけではありません。このように、最もコスト効果と信頼性に優れた、シンプルで GAMP 準拠の方法で、それぞれの顧客固有の環境に統合できるようにしています」
カメラ
この目的に使用できる IDS の uEye FA カメラファミリーのモデルは、特に耐久性に優れているので、上記のファクトリーオートメーションでの用途に理想的です。カメラハウジング、レンズチューブとねじ止め式コネクター (データ転送および Power-over-Ethernet 用 X コーディング 8 ピン M12 コネクターと、GPIO、トリガーとフラッシュ用 8 ピン Binder コネクター) で、保護クラス IP65/67 の要件を満たします。つまり、どのような過酷な産業環境であっても耐久できるモデルだということです。レンズチューブやドラッグチェーンケーブルなど、広範なアクセサリも同様に丈夫です。ピクセル前処理、LUT、ガンマなどの機能はカメラに統合済みなので、必要なコンピューティング能力は低くなります。大型フォーマットセンサーにも適したカメラで、産業プラントや品質保証でのマシンビジョンタスクでの使用が代表的です。これにより、検査タスク向けの信頼できるソリューションが、この用途でも保証されます。
利点
それでも i-mation の主なコンセプトは、新規プラントと既存プラントの改装という形の両方で、医薬品産業向けのこのシステムソリューションを GAMP と FDA (アメリカ食品医薬品局) に準拠して統合することです。GampBOX は現在、GAMP ガイドラインに従って画像処理アプリケーションを実装する、世界でただ 1 つのプラグアンドプレイシステムです。
中でも、ユーザー操作のトレーサビリティを提供し、エンジニアリングおよび検証の作業が軽減されます。そのため、マシンとサブシステムを検証が必要なアプリケーションに供給するなど、高品質要件を満たす必要があるマシンメーカーに最適です。マシンメーカーとさまざまな産業セクターの最終顧客は、厳しさを増す要件とガイドラインに対応する個別のソリューションを 1 つの提供元から手に入れることができ、しかも必要に応じて量産できます。
今後の予定
市場に新規企業が絶えず参入してくる中で、医薬品企業は、品質および短期間での市場投入の面で、自社を際ただせる必要性が強まっています。このためには、デジタルイノベーションによる対処がきわめて重要です。デジタルテクノロジーはすでに高付加価値を生み出しており、さらなる可能性を秘めています。同時に、偽造防止 (2011/62/EU 指令) など、各セクターにおいて新たな課題が生じています。食品、医療技術、爆発物の業界では、トレーサビリティも法によって義務付けられています。グローバル市場での産業および消費者向け偽造品の増加を受けて、このような要求は重要性を増しています。
IDS カメラを搭載した GampBOX には、大きな可能性があります。その主な特長として、混在を避けられます。
GigE uEye FA - ファクトリーオートメーション向けの丈夫な産業用カメラ
IDS だけの特長: 新しい GigE uEye FA シリーズのカメラをお求めの場合、実績のある IDS Software Suite か、GigE Vision 規格のサポートを選択できます。独自の IDS ソフトウェアによって、GigE カメラでも USB によるプラグアンドプレイで利用できます。システム内のカメラは自動的に検出され、すぐに使用できるようになります。
クライアント
i-mation GmbH (ドイツ) は、産業用画像処理向けの個別ソリューションをシステムインテグレーターとして開発、実装し、メーカーに依存しないコンサルティング、大手サプライヤーからのテクノロジー、自社開発のソリューションを自動車、太陽光発電、医薬品、パッケージ、電機、印刷およびロボット業界に提供しています。 同社には、Smart Factory Machine Vision、Human Like Machine Vision、3D Machine Vision の 3 部門があります
https://www.i-mation.de