Ensenso C が画像に追加のカラー情報を提供

3D カメラでカラービジョンを実現

3D カメラは、ロボットおよび自律システムの能力を向上させ、正確で多様な応用分野への新しい可能性を生み出します。これを可能するには、3D カメラテクノロジーが新しい市場の要求に応えなければいけません。ただし、より明確でコスト効果の高い方法でアプリケーションを開発するために必要な、複数のコンポーネントが最適に組み合わされ、かつ操作と統合が簡便であるシステムは不足しているのが実情です。複雑化が進んでいるにもかかわらず、システムの操作性を改善して、使いやすさは維持しなければなりません。

事前調整済みで迅速なスタートを

完全にカスタマイズ可能なデバイスクラスと、使いやすい標準デバイスの主な違いは、構成できる範囲と柔軟性のレベル、そしてセットアップと使用開始に必要な労力です。これらの 2 つのアプローチのどちらを選ぶかは、個々の要件とアプリケーションシナリオによって決まります。完全にカスタマイズ可能なデバイスクラスのほうが自由度と柔軟性がありますが、技術的な専門知識と始動するための時間も必要になります。それに対して標準デバイスは、操作が簡単で、さまざまな調整をしなくても特定のタスクを実行できます。新しいCシリーズでは、Ensensoはハイエンドレンジで柔軟性の高いXシリーズと並んで、両方のクラスのデバイスを提供できるようになりました。Ensenso カメラ選択ツールで、すぐに使用できる、特定の用途に適した標準モデルを選択できます。

コンパクトな Ensenso C カメラシリーズは事前調整済み、異なるベースラインの「S」と「M」モデルで、様々な用途要件向けにすぐに使用できます。
コンパクトな Ensenso C カメラシリーズは、各種のステレオベースラインで事前調整済みでご提供。

3D だけにとどまらない

Ensenso ステレオメトリー手法のメリットの 1 つは、ステレオカメラから得た 2D 画像を常に SDK を介して取得できることでした。つまり、奥行情報に加えて、SDK は常に基本データを提供し、アプリケーションに 2D カメラを追加することなく、画像分析を実施できます。2D 画像データは 3D 点群上のテクスチャとして重ねてより良い 3D 画像を作成できるほか、物体のエッジを認識して測定したり、画像内のコードを読み取ったりすることができます。このようにして、ロボットで物体を把持するために物体を3次元的に検出できるだけでなく、詳細な物体ハンドリングのために物体を正確に識別することもできます。

完全に統合された RGB カメラを追加し、Ensenso C シリーズでは同じシーンの 2D カラー画像にアクセスできるようになりました。これにより、3D 点群だけでなくカラー情報もタスクの解決に必要となる場合に、カメラの用途範囲が広がります。たとえば、AI ベースの画像分析で、カラー画像が通常の基本データとして使用される場合などです。

コンベアベルト上の荷物の 3D データに加えて、Ensenso C は荷物のコードを読み取るための基本データも提供します。
追加の統合 2D カラーカメラにより、Ensenso C は荷物のコードの読み取りなど、画像処理タスクの基本データも提供します。

コンパクトで完全統合

複数の機能または基本データを使用して分析し、アプリケーションを実施する場合、通常は 2 通りの方法で実行できます。1 つは、タスク全体に必要なすべてのセンサーまたはコンポーネントを個別のスタンドアローンデバイスとして操作することです。これによって各モジュール式ユニットの選択肢とメンテナンスが最大限に柔軟になりますが、複数のデバイスを 1 つのアプリケーションに統合して同期させるのは、技術的にはより困難で、さらに豊富な専門知識が必要になります。

それに対して、新しい Ensenso C などの完全統合されたデバイスでは、すべてのコンポーネントが密閉されて保護されたハウジングに収納されています。言い換えれば、ステレオカメラ、パターンジェネレーター、2D カラーカメラ、ライトが工場出荷時に最適に調整され、Ensenso SDK という共通デバイスソフトウェアを通じてアクセスできるようになっています。アプリケーションの複雑性は増していますが、3D カメラシステムはロボットやその他の自律システムで利用できる限られた空間にも適合できるほど、コンパクトです。

大きな体積の 3D

被写体までの距離が5メートルもあるようなアプリケーションでは、3Dカメラシステムのコンポーネントは最適に設計され、深度値の高いZ精度を達成するために連動する必要があります。Ensenso Cのようなステレオメトリーシステムでは、大きなベースライン、つまり2つのステレオカメラ間の大きな距離が、対象点の非常に正確で安定した三角測量を保証します。高解像度 5 MP と組み合わせて、物体構造を非常に精細にスキャンできます。顕著なピクセルがわずかしかないテクスチャの少ない物体表面であっても、Ensenso C カメラは非常に強力な 200 W LED パターンプロジェクターを利用し、5 m の距離からでも高コントラストの表面を維持します。非常に堅牢な機構と最適化された放熱により、離れた場所からでも奥行値のジッターを低く抑えられます (距離 1 m で 0.1 mm)。

高強度のプロジェクターが、対象の物体にコントラストの高いテクスチャを生成します。
200 W の強力なプロジェクターがサポートする Ensenso C は、高コントラストのテクスチャを画像処理対象の物体に投影します。

まとめ

IDS は Ensenso C によって 3D カメラテクノロジーの次の大きな一歩を踏み出し、高度な画像処理機能に必要な基本データをアプリケーションに提供します。この 3D カメラシステムは、Ensenso の 3D ビジョン環境におけるすべてのメリットを、特にコンパクトなハウジングに内蔵しています。ハイエンドセクターに位置し、精度が非常に重要視され、大きな体積の撮影が求められるアプリケーションに特に適しています。シンプルな操作と多数のモデルバージョンにより、Ensenso C シリーズは、3D における画像処理に欠かせないツールと言えます。