各種のデザインとサイズを取りそろえた IDS 産業用カメラ

より小さく、より速く、よりインテリジェントに

産業用カメラセクターは近年著しい進化を遂げており、カメラメーカーは「より小さく、より速く、よりインテリジェントに」という 3 つの側面を重視しています。センサーテクノロジーの進歩は留まるところを知らず、生産プロセスのオートメーションが進む中で、産業用カメラの性能を最適化し、要件にうまく適合させるような新たな機会が絶えず生み出されています。このようにコンパクトな設計、高速化、インテリジェントな機能に向けた進展は、幅広い産業セクターのさらなる発展につながっています。この技術記事では、3 つのカメラクラスの重要性と、それらが産業用画像処理をどのようにサポートしているかについて説明しています。

組み込み用途向けの小型カメラ

シングルボードカメラは設計が小型化され、レンズホルダーにぴったりフィットするようになりました。このような小型化は、小型デバイスの組み立てや組み込みビジョン用途に特に適しています。この製品領域では、IDS ではわずか 29 x 29 x 7 mm のモデルを提供しています。Xシリーズの小型産業用カメラは、可能な限り多様な統合ができるよう、幅広いハウジングバリエーションが用意されています。レンズホルダーありやなしが選べるボードレベルカメラ、また、プラスチック製ハウジングや亜鉛ダイキャスト製のフルハウジングカメラは、基本機能に集中し、価格を最適化しています。このため、予算が厳しい量産型の用途に最適です。小型サイズで低価格のカメラなので、多様な画像処理システムに容易に統合できます。

アクセサリおよび接続・インターフェース用の標準コンポーネントにより、簡単に使用できます。すべての共通 C/CS マウントおよび S マウントレンズを使用でき、Type-CコネクターとUSB3 Vision規格により、多くのアクセサリや複雑な開発ツールを使用することなく、簡単に操作し、ビジョンシステムに統合したりすることができます。

このカメラカテゴリで、IDS は別の観点からも市場の需要に対応しています。ハイエンドのイメージセンサーを備えたカメラを必要としない用途は、実は少なくありません。例えば、解像度、フレームレート、シャッター技術において、センサーメーカーがプレミアムモデルに比べてほんの少しだけ「ダウンサイズ」した低価格モデルを使用することで、さらなるコスト削減の可能性が生まれます。

さまざまなハウジングバージョンやレンズホルダーの、コンパクトなUSB インターフェースシングルボードカメラ
多様なハウジングバージョン、極めてコンパクトなサイズ、USB3 Vision インターフェースを装備し、コストを最適化した産業用カメラは、どのような画像処理システムにも容易に導入できます。

速度を損なうことなく 45 メガピクセルを実現

サイクルレートを向上させ、検査時間を短縮し、ウェハーやパネルなどの対象物をより遠くから高精度で分析、測定、欠陥検査を行う場合は、大型センサーが使用されます。このようにして、必要な画像や可能な限り大きな視野を持つ検査ポイントを最小限に減らし、スループットを向上させることができます。データ量の多いカメラ画像を、フル解像度、高フレームレート、低レイテンシーで画像処理ユニットに伝送するには、高速インターフェースも必要です。

IDS はギガビットイーサネットベースのネットワークの中でも10GigE を使用することで、uEye Warp10 という、データを極めて高速で長距離を無理なく転送するカメラファミリーを発表しました。最大 45 MP の onsemi グローバルシャッターセンサーがイメージセンサーとして搭載されています。スレッドベースで産業用途に適した TFL マウントと組み合わせることで、最大対角 2 インチのイメージセンサーをエッジシェーディングなしで露出できます。

このような高速システムは、フル負荷時に標準的な産業用カメラよりもかなり多くの放熱を必要とするため、ここでは冷却リブを備えた筐体設計が採用されています。さらにアクティブ冷却プレートを追加することで、パッシブ・クーラーを搭載した他の10GigEシステムよりもはるかにコンパクトな設計が可能になりました。

TFL ねじ止め式大型レンズホルダー付き IDS カメラ。コンパクトなハウジングには冷却リブ付き。その下には、アクティブ冷却用のファン付きねじ止め式プレートがあります。
標準的な産業用カメラの 10 倍、 USB3 モデルの3 倍高速: 10GigE カメラファミリー uEye Warp10 は、解像度、画質、速度が最も重要視される用途で強みを発揮します。

画像分析 (PC なし) をカメラ上で直接実行

品質によってクラスに基づく分類、物体や特徴の検出を実行し、PC を追加することなく、非常に狭い空間で画像処理システムを機能させたいと考えることはありませんか?このような場合、AI、エッジコンピューティングと組み込みビジョンがより高い柔軟性と生産性を提供します。このようなコンパクトな組み込みビジョンデバイスの代表例である、インテリジェントカメラは、画像をキャプチャしてホスト PC に送り、処理するだけでなく、統合された AI アクセラレータで画像分析を自ら実行し、プロセスに関連する結果を完全に独立して生成します。

これらのデバイスクラスは、従来の産業用カメラでは生成できなかったデータや、追加のシステムコンポーネントでしか生成できないデータを提供し、コネクテッドシステムにおける新たな役割を担っています。画像処理の単なる一部ではなく、完全な画像処理システムとして機能するのです。インターフェースは OPC UA などの産業プロトコルをサポートするので、マシンやコントローラーと直接結果データを交換でき、Industry 4.0 アプリケーションでシームレスに動作します。これは画像処理と PLC の融合において画期的な出来事です。これは将来に向けて革新的な相乗効果を生み出します。

IDS NXT AI カメラは金属プロファイルに取り付けられています。ビジョンアプリ、Web ベースのブロックエディター、deep ocean AI アクセラレーターがその隣に位置しています。
IDS NXTは、アイデアから完全に機能する組込みAIビジョンシステムまで、多くの簡単な画像分析を実装し、結果をマシンレベルで直接産業用プロトコルと通信することができます。

アプリケーション次第!

だからこそそれぞれにカメラは異なります。一口に産業用カメラといっても必要とされる要件はさまざまです。センサーの解像度、データ転送速度やさまざまな機能がありますが、それが決定要因ではないこともよくあります。重視されるのは、常にアプリケーションです。オートメーション、品質保証、自動運転車、いずれの用途であっても、適切な産業用カメラの要件はすでに的を絞った特徴として決定されています。それが、「より小さく、より速く、よりインテリジェントに」です。