IDS GMSL2 Discovery Kitは、最新の組み込みビジョンシステムを評価するためのイノベーションプロジェクトです。本プラットフォームは、ISPおよびSoCを搭載したインテリジェントカメラモジュール、GMSL2通信技術、さらにNVIDIA Jetson Orin NXベースの組み込みPCをあらかじめ統合しています。
お客様独自の組み込みビジョン開発を進めるための出発点として活用でき、技術サポート付きの貸出キットとしてご提供しています。
現代の組込みビジョンシステムが求める要件に対応
今日の画像処理は、もはやカメラ単体で完結するものではありません。ロボットシステムや移動機械、AGV(無人搬送車)、医療機器、自律システムでは、次のような要件が求められています。
- 1つのシステムで複数のカメラを運用できること
- 高性能な組み込みコンピュータ
- 低遅延かつ高精度なカメラ同期
- 堅牢な配線構成(GMSLでは最大15mまで対応)
- コンパクトな装置への柔軟な組み込み
IDS GMSL2 Discovery Kitは、このようなシステムアーキテクチャを迅速かつ容易に評価できるよう設計されています。
複雑な統合作業は不要。すぐに評価を開始。
- ライブ画像をその場で表示
- PythonやOpenCVを使用した画像処理
- RTSPストリームを直接配信
- 事前構成済みのため、統合作業ではなく評価に集中
- 最大3台のカメラモジュールの同期画像データを、1本のケーブルで伝送
GMSLとは?
GMSLはGigabit Multimedia Serial Linkの略称で、高い信頼性が求められる車載用途向けに開発されたインターフェースです。このインターフェースにより、画像データ、制御情報、同期信号、および電源をコンパクトなケーブル接続で伝送できます。IDS Discovery Kitのデュアルヘッド構成では、2台のカメラモジュールからのデータを1本のGMSL2ケーブルで組み込みPCへ伝送します。
IDS Discovery KitにおけるMIPIとGMSL
両方式のメリットを融合
IDS GMSL2 Discovery Kitでは、両インターフェースが互いの長所を活かしながら連携します。イメージセンサーは、カメラモジュール内部でMIPI CSI-2を介してISPおよびSoCへデータを送信します。その後、シリアライザがデータをGMSL2伝送用に変換します。組み込みPC側では、デシリアライザによってデータがNVIDIA Jetson Orin NX上で処理可能な状態になります。
これにより、MIPIは高性能な内部センサーインターフェースとして機能し続ける一方で、GMSL2は長距離伝送、堅牢な配線、および複数カメラモジュールの柔軟な配置を可能にします。
比較項目 |
MIPI CSI-2 |
GMSL2 |
|---|---|---|
主な用途 |
機器内部におけるイメージセンサーとSoCの接続 |
カメラと組み込みPCの長距離接続 |
主な特長 |
コンパクトな構成で高い性能を実現 |
最大6 Gbit/sの長距離かつ堅牢なデータ伝送 |
伝送距離 |
一般的に数cmから約30cm |
最大15m |
配線方式 |
センサーへの直接接続 |
画像データ、制御、同期信号、電源を1本のケーブルで伝送 |
耐ノイズ性能 |
短距離接続向けに最適化 |
車載用途向けに開発された高いEMC耐性 |
主なアプリケーション例 |
カメラモジュール、組み込み機器、センサー統合 |
ロボティクス、移動機械、AGV、医療機器、マルチカメラシステム |
IDS GMSL2 Discovery Kit
必要なものをすべて同梱。すぐに評価を開始できます。
本キットには、ハードウェア、ソフトウェア、および必要なアクセサリーがすべて含まれており、すぐに利用できる一体型システムとして提供されます。
主な構成内容
インテリジェントカメラモジュール
- onsemi AR0233センサー、Full HD(1920 × 1080)
- 30 fps
- HDR
- パルス駆動のLED光源によるフリッカーを低減し、より安定した画像取得を実現
- 評価をすぐに開始できるよう、Sマウントレンズをあらかじめ装着
- 統合ISPによる画像最適化機能を搭載
- シングルヘッド版、デュアルヘッド版のいずれも、組込みPCとは1本のGMSL2ケーブルで接続可能
組み込みPC
- NVIDIA Jetson Orin NXをベースとしたエッジAIコンピュータ「PCB Arts Helium」
- GMSL入力
- 車載機器や産業機器、バックエンドシステムとの連携に対応するイーサネットおよびUSBインターフェースを搭載
- LinuxおよびV4L(Video4Linux)に対応
- サンプルソフトウェア付属
すぐに利用可能
導入後すぐに、評価やアプリケーション開発を開始できます。
ライブ画像を表示
接続したGMSLカメラの画像データを、モニターに直接表示できます。画質やHDR性能、ISP機能を迅速に評価する用途に最適です。追加設定は必要ありません。
PythonとOpenCVを活用
カメラ画像をPythonやOpenCVアプリケーションで直接利用可能です。追加のシステム統合作業を行うことなく、独自の画像処理アルゴリズムやAIプロトタイプの開発・検証を進めることができます。
RTSPストリームを利用可能
RTSPストリームを介して画像データをネットワーク上で提供し、既存のアプリケーションやバックエンドシステムへ容易に統合できます。映像配信や遠隔モニタリング用途に最適です。
カメラモジュールに搭載されたISPとSoC
処理を分散し、より効率的なビジョンシステムを実現
ISPとSoCは、主要な処理をカメラモジュール内で実行します。SoC(System-on-a-Chip)は、複数のMIPIセンサーから取得した画像データを集約し、組み込みPCへの1本のGMSL2接続を介して同期伝送を行います。
統合ISP(Image Signal Processor)は、接続された各イメージセンサーの画像データを最適化します。HDR処理、色補正処理、LEDフリッカー低減などの機能は、データ伝送前に実行されます。
メリット1
1本のケーブルで複数カメラを接続
- 1本のGMSL2接続で最大3台のカメラモジュールに対応
- 同期された画像データを伝送
- 配線工数を大幅に削減
メリット2
ローカル処理のための演算リソースを確保
- ISPによるリアルタイム画像最適化
- SoCによるローカル処理
- お客様独自の処理パイプライン構築が可能
メリット3
アプリケーションのパフォーマンス向上
- 組み込みPCの処理負荷を軽減
- ハードウェア要件とシステムコストを削減
- コンピュータビジョンやAIに注力可能
主なアプリケーション例
ロボティクス・自律システム
移動ロボット、自律移動ロボット(AMR)、AGV、自動運転車両向け。特に、複数カメラの同期と低遅延性能が求められるアプリケーションに適しています。
移動機械・スマートファーミング
自律走行型農業機械や建設機械のほか、センサーと演算ユニットが離れて配置されるモバイルシステム向け。GMSL2により配線を簡素化できるだけでなく、カメラと組み込みPCの設置距離を拡大できます。
医療技術・ライフサイエンス
分析機器やモバイルイメージング装置など、高性能な組み込みコンピュータと複数のカメラを限られたスペース内で連携させる必要があるコンパクトなシステム向け。
ドローン・航空
軽量化、配線設計、堅牢性、リアルタイム性能に対して高い要件が求められるアプリケーション向け。
組み込みOEMシステム
最新のビジョン機能の自社製品への組込みを検討しており、迅速な評価環境を必要とする機器メーカーや装置メーカー向け。
Discovery Kitから量産製品へ
評価完了後は、お客様専用の組み込みビジョンシステム開発の技術基盤として活用できます。IDSは、Customised Solutions & Servicesを通じて、システム構想から実装までを包括的にサポートします。